京急蒲田駅直結の皮膚科、たけうち皮フ科クリニック

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医療コラム

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予約制で待ち時間は解決しないのか

 待たずに診察できる予約制は魅力的ですが、解決困難な数々の問題がつきまとうため、多くの医療機関が導入にこぎつけない現状があります。
 まず、予約時間通り診察が進まないことが常態化します。診察してみないと、どれだけ時間のかかる病気か分かりませんし、同じ病気でも詳しい説明を求める方もいらっしゃいます。『次の方がお待ちですので、今日の診察はこれで切り上げます』とはいきません。予約枠が一杯になると、一週間後の予約がとれずずっと先になってしまうとか、急に激しい痛みやかゆみを生じても当日診てもらえず、予約がとれるのは何日も先といったことも起こります。約束の時間に呼ばれない、予約がないと診てもらえないのか、という苦情で受付の職員は疲弊してしまいます。
 また、お年寄りに予約制は不評です。電話やインターネットを使って予約をとる操作に、不慣れだからです。一人でお住まいの認知症の方は少なくなく、今後増えることが予想されます。
 予約制が機能しない原因は、医療制度にあります。最高でも3割払うだけで誰でも同じ医療が受けられる国民皆保険、誰でもどこの病院でも診てもらえるフリーアクセス制、来院した患者さんを正当な理由なく拒んではいけない応招義務などです。外国人が聞いたら夢のような日本の医療の特長と、待たずに受けられる医療サービスの両立は極めて困難で、古くは『3時間待ちの3分診療』といわれ社会問題にもなりました。このため、病院を機能別にする試みがなされ、最近では大病院は紹介状が必要となりましたが、それでも混雑は緩和されないようです。開業医も専門医と家庭医に分けようとする意見がありますが、実現には数々の課題があると聞きます。
 医師なら誰でも、待ち時間にはトラウマがあります。患者からは「いつまで待たせる気か」と怒鳴られ、看護師からは「時間をかけずにさっさと診察して下さい」と急かされ、病院によっては経営者から「待ち時間は短く苦情の来ないように、時間当たりの患者数を増やして売り上げを増やすように」と責められてきたからです。

2019-09-22 18:32:57

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学校の水泳部でサンスクリーンは塗れますか

 『連日の炎天下で部活にいそしみ黒くなるのは、相応の負担が肌にかかっているのではないか』との懸念を、学校に通うお子様をお持ちの保護者の方から伺うことがあります。『水泳部の部活で真っ黒になるが、サンスクリーンを塗れないため将来シミにならないか』との声が代表的です。プールでサンスクリーンを禁止する理由は水が汚れるからと聞きますが、サンスクリーンは水質を汚濁しないことが実証されていると日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会は下記の通り伝えています。また、プール外での体操着の着用や、泳ぐ時にラッシュガードを着用するのも紫外線防御に役立つとしています。
 紫外線対策は、東洋人においては白人ほど厳格である必要はありません。しかし、赤くヒリヒリするほど激しく日に焼いたり、水ぶくれを作るのは誰が考えても良くはありません。ほどほどで良いのですが、どこまで紫外線対策をするべきかの線引きはありません。日本における明瞭な紫外線対策の一例として、約30年前に赤ちゃんの日光浴の記載が母子手帳から削除されました。

学校生活における紫外線対策 日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会.pdf

2017-07-27 07:18:01

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第二次世界大戦に参戦した患者さん

 新聞の投書欄に、時々戦時中の辛い体験が綴られています。第二次世界大戦に参戦した経験をお持ちの方に患者さんとしてお目にかかることは、30年位前までは珍しいことではありませんでした。「軍隊でうつされた」とおっしゃる水虫の患者さんに、何度かお目にかかった記憶があります。
 ある日、皮膚癌を手術室で局所麻酔で切除し最後に皮膚を縫い出した私は、手術台の上に横なっている患者さんに向かっておもぬろに、「大東亜戦争はいかがされましたか」と尋ねました。すると、ご高齢の書道の先生は、よどみなく理路整然と話し出したのです。弁慶の勧進帳のごとく。終戦のその時を戦友とともに大陸で迎えた書道の先生は、上官からは戦況を何も知らされず、今にして思えば現地の人はポツダム宣言を全て知っていたと言うのです。苦労されての帰国であったと思います。
 沈没した戦艦大和から、生還を果たしたという方にも2人お目にかかりました。海の上に浮き救助を待つ人が、沈没する戦艦大和の煙突に流れ込む海水とともに吸い込まれ、戦艦の命運に引きずり込まれていった光景を目のあたりにしたとのことです。戦争は海外でも傷跡を残しました。学会で会ったユダヤ人の皮膚科医は、自分が今こうしていられるのは、祖父母がナチスの支配するヨーロッパからアメリカに逃げてこれたからだからと話してくれました。あるアメリカ人の皮膚科医は、退役軍人病院で戦争のことを話しかけると、患者さんがよく応えてくれると言っていました。
 平和な日々が当たり前ではない、時代や地域があるとの思いが沸き起こります。

2016-08-18 12:12:40

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皮膚科事始め いなばの白ウサギ

 皮膚病は目に見えるため、皮疹の形に基づいた病名が昔からあり、当用漢字にない馴染のない漢字が使われています。尋常性ざ瘡とはニキビ、尋常性疣贅とはウイルス性のイボのことです。水虫は足白癬で、癬とは皮膚病を意味します。急性痘瘡状苔癬状粃糠疹、なんていう漢文の様な病名もあります。頭を抱えながら心電図を勉強中のアメリカの医学生から、日本の医学生は病名などの医学用語を英語のほかに日本語でも覚えるのか、と訊かれたことがあります。ちみに水虫は世界中どこに行っても身近な病気で,英語でアスリートフット,運動選手の足と呼びます。
 皮膚病の歴史をひもとくと、その最初の記述はいなばの白ウサギがサメに襲われ皮をはがされたときに、ガマの穂の粉をはたいたことにさかのぼることができます。このガマ、漢字で書くと蒲、蒲焼の蒲でもあります。蒲焼の語源は、ウナギをその昔、割かずにそのままブツ切りにして串に刺して焼いたその姿が、蒲の穂に似ていることに由来するとの説があると、絶滅危惧種の商店街のウナギ屋さんのおじさんが教えてくれましたが、真偽のほどはいかに。

2016-08-18 12:09:36

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お医者様 患者様

 今ではほとんど使われなくなったお医者様という言葉は、何でも江戸時代にできた言葉だそうで、昭和の時代には日常よく耳にしました。この〇〇者の「者」は第三者から見たことを表現しているので、自分の相手に使う「様」を「者」の後に付けるのはおかしいんだそうです。そう言われてみると、旅行者様、購入者様というのはしっくりきませんが、一つの言葉の中にちぐはぐな要素を含んでいるからなのでしょうか。同じ理由からお医者様という言葉もおかしいはずなのですが、何百年も使われてきたわけです。言葉は時代とともに変化しますので、昔は誤りとされていたものが、年月を経て正しい使い方に変化した一例なのでしょうか。
 もうひとつの言葉、患者様については、「様」は良いイメージを与える言葉ですので、病気を患っている患者に「様」をつけるのはおかしいんだそうです。「患者」に対して敬意を表したい場合は、「患者様」ではなく「ご来院の方」がふさわしいとされています。

 

2016-08-18 11:55:29

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