rss
アトピーでかかった少女は、終始物分かりの良さそうな面持ちだった。一緒に診察室に入ってきたお母さんが、『なぜ治らないのか』としかりつけるような口調なのとは対照的だった。非難しているのは、病気を治せない医師の無力さとも、医学の無力さとも聞こえた。矛先を向けられた私が、たじたじになりながら病気の説明した2週間後、少女は一人でやってきた。あれ程ひどかったアトピーは、うそのように良くなっている。『今日はお母さんと一緒じゃないの』と聞くと、『お母さんとお父さん、離婚した』と短く答えた。人知れず、アトピーが悪くなるほどのストレスを一人で抱えていたのだ。それを伝えに来たのだろうか。
2018-11-07 21:40:44
アトピー性皮膚炎