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大人もなるようになった 子供の病気だったアトピー

大人もなるようになった 子供の病気だったアトピー

 小児や青年にみられるアトピー性皮膚炎は、半世紀前までは子供の病気でした。その後、発症率は昔と変わりませんが、徐々に自然に治る年齢が遅くなり、約30年前にはそれまでなかった、成人型アトピー性皮膚炎という言葉が生まれました。それとともに、以前よりも激しい症状の人が増えたとも言われています。
 同じ病気なのに、菌等でうつり流行する病気でもないのに、なぜこのようなことが起こったのでしょうか。原因の一つに、社会が衛生的になり栄養状態も良くなったことが大きく関わっていると考えられています。過去を振り返ると、鼻水を垂らしてけん玉に興じ、結核が国民病と呼ばれていた時代が数十年前にありました。その後、所得倍増計画とそれに続く高度経済成長により、生活レベルは飛躍的に向上したわけです。その結果、それまで忙しかった体の中の免疫システムは感染症に巡り会う機会が減り、持て余した免疫力で不必要な反応をするようになってしまいました。すなわち、皮膚炎を起こしてアトピーになったり、気管支を収縮させて喘息になったり、鼻や目の粘膜が炎症を起こして花粉症を起こすようになったと考えられています。実際の発病の仕組みはもっと複雑で、複数の要素が絡み合って症状を起こしているようです。
 アトピーは、一見正常でも皮膚のバリア能が損なわれた敏感肌と、かゆくなり易いかゆみ過敏の状態を併せ持った病気で、遺伝的背景にいくつもの環境因子が重なり合って発症します。遺伝的背景だけでも、環境因子だけでも発症することはありません。痒い皮疹の起こる肘の内側や膝の裏だけに、アレルギーが起こってなる病気とは思えません。ダニや卵などのアレルギーだけでなり、それを避けさえすれば治る病気ではないのです。いずれは治りますが、繰り返すかゆみと皮疹、塗り薬を塗る手間は、小児では家族にも負担がかかり、社会を担う青壮年層の生活の質を損なうことが問題となっています。

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ネット診察室|アトピー性皮膚炎

2016-08-18 12:06:46

アトピー性皮膚炎