京急蒲田駅直結の皮膚科、たけうち皮フ科クリニック

〒144-0052 東京都大田区蒲田4-10-14 あすとウィズ3階
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アトピー性皮膚炎

◆ アトピーとは
 出された薬を塗った時は治るが、しばらくすると同じ場所に皮膚炎を繰り返し、激しいかゆみに襲われることもあります。このような薬塗りとかゆみは、本人のみならず家族にとっても日常生活の重荷となります。その経済損失は、1カ月約4,690億円(アトピーを含むアレルギー性皮膚疾患)と試算されています。一方、皮膚の症状より診断される病気ですので、皮膚炎が穏やかですと何度か診察しないとアトピーと分からないこともあります。これ以上良くなる様子が感じられない場合は、どの皮疹に何を塗るか薄く塗っていないか再確認するのもポイントです。病院に通っている人は、推計45万6,000人。良くなるが治りにくい、治りにくいが治る病気です。

◆ 原因
 アトピーの皮膚は、一見正常に見えても全身が敏感肌です。このため、かきっ放しの汗や乾燥などの刺激ですぐに肌が荒れ、調子が良くてもそれ以上良くならないことがあります。全身が敏感肌である原因は、かさついていなくても保湿成分が少ないドライスキンであり、外からの刺激に対するバリア機能が損なわれているからです。敏感肌を健康な状態に補正するために、保湿剤を全身の肌に正常に見えても長期にわたり塗るスキンケアが大切です。
  敏感肌のほかに皮膚炎を繰り返すもう一つの原因は、ステロイドを塗ってきれいにしても、目に見えない皮膚炎が残っていることです。このため、首や肘の内側を良くしても繰り返したり、まぶたが何も出来ていないのにむずがゆくなり手が行くのが癖になったり、夜寝ながら無意識に掻いて朝ひっかき傷ができていたり血が付いているなど、説明のつかないことが起こり続けます。このようなかゆみは、一見正常な皮膚に潜在する皮膚炎や、皮膚の表面まで神経が伸びて起こるかゆみ過敏によると考えらえています。ステロイドや保湿剤で解決しきれないこのようなアトピー特有の症状には、タクロリムス(プロトピック)が即効性はありませんが有効です。
 敏感肌とかゆみ過敏のほかにも、環境因子と呼ばれる気候やその時代の社会の衛生状態、さらには精神的ストレスなど、いくつもの要素が様々に組み合わさってアトピーは発症すると考えられています。
 実際、居心地の良い温暖な住み慣れた故郷を離れ、夏は熱帯夜、冬は異常乾燥注意報がでる東京で仕事に追われ、家族や友人のいない部屋に寝に帰る暮らしを一人で送ると、アトピーが悪化することはしばしば経験されます。同様に、東南アジア出身の方が東京勤務となり、母国では子供の頃からなかったアトピーの症状に悩まされることもあります。逆に、長年のアトピーが転居や海外勤務に伴い治ってしまうこともあります。過去に、小児のアトピーが、ドルフィン療法と称して沖縄でイルカと遊んで過ごすと良くなった理由は、お子さんがお母さんとリラックスして、医師の指導のもとスキンケアが十分にでき、紫外線の穏やかな炎症を抑える作用によると考えられます。(注:アトピーを日光浴で良くすることは、医学的に勧められていません。)
 結核が国民病と呼ばれた昭和初期までにアトピーが少なく現代に多い理由は、体の免疫力がばい菌と戦うことに忙しく、花粉症やアトピーになる余裕が無かったからと考えられています。

◆ 3つの塗り薬を使い分ける
悪化時のおさえにステロイド かゆい発疹は即効性が特長のステロイドで良くしますが、一旦落ち着いても火種のような皮膚炎が残っており、敏感肌でもあるため繰り返します。そこで、ステロイドで取り切れない皮膚炎はタクロリムス(プロトピック)で治し、敏感肌は保湿剤で補正します。ステロイドは、悪くなった発疹を良くする抑えの薬と位置付けます。
 ステロイドは様々な強さがあり、皮膚の厚さと皮膚炎の程度によって使い分けます。皮膚は、顔よりも体や指の方が厚く、プツプツした発疹よりゴワゴワした発疹の方が炎症の程度は激しいです。また、塗って数日で良くなる強さのステロイドを選びます。大量、長期間使い続けると皮膚が薄くなったり毛細血管が浮き出る副作用が気になりますが、良くなったらプロトピックに変更しますので実際に副作用が目に見えるような形で現れることは稀です。
鍵を握るLife-changing drugプロトピックを使いこなす タクロリムス(プロトピック)は、ステロイドを塗っても繰り返す皮膚炎を良くする特長を持っています。1993年に登場した際にはそれまでのアトピーの治療を一変させたため、アメリカで患者さんからLife-changing drugと呼ばれました。タクロリムス(プロトピック)はステロイドではなく、ステロイドであるキンダベートやロコイド、リンデロンと同じくらいの炎症を抑える力を持っています。しかし、ステロイドの副作用である、皮膚を薄くしたり毛細血管を拡張させることはありません。タクロリムス(プロトピック)は、ステロイドで取り切れなかった軽い皮膚炎や、良くなっても残っている目に見えない皮膚炎を良くします。首や肘の内側、膝裏などは、今はきれいでも悪くなりやすく、きれいになってもかゆくなりやすいので、良くなっていてもタクロリムス(プロトピック)を塗ると、すぐには効きませんが徐々にかゆみが減って良くなります。また、このような場所に残って消えない黒ずみは、治らない色素沈着誤解されていることがありますが、かゆみを感じない程度の弱い皮膚炎ですので,タクロリムス(プロトピック)を塗ると数ヶ月から1年以上かかけて回りと同じ白い肌に徐々に戻っていきます。まぶたのかゆみや小じわ,黒ずみもタクロリムス(プロトピックが効果を発揮しやすい病変です。このようにタクロリムス(プロトピック)は目の回りを含む顔にも体にも塗れ、2歳の誕生日当日から処方できます。ただし、妊娠、授乳中は使えない決まりになっています。
敏感肌は保湿剤で健常に補正 カサカサしておらず正常に見えても、全身の皮膚で保湿成分が少なく、バリア機能が破綻した敏感肌です。このため、ステロイドもプロトピックも塗らない何ともないところは、全身に保湿剤を塗ると、敏感肌が健康な状態に補正され皮膚炎を起こしにくくなります。保湿剤を塗ったネズミはかぶれにくくなることは、保湿の大切さを物語っています。繰り返すかゆみや発疹が軽ければ、保湿剤を塗り続ければ出なくなることもあります。
 薬塗りは面倒くさくて続けられませんが、何回中断しても思い立ったらいつでも始められます。塗る時間は朝と入浴後と決められてはいませんので、休みの日の午後に塗っても結構です。やればやっただけの効果は出ます。

◆ 薬はいつまで塗るか・治るか
 アトピーは、いずれは自然に治ります。実際、子供のころのひどいアトピーが治り、皮膚科医が診察しても分からない人は珍らしくありません。しかしそれまでは慢性の経過をたどり、そう簡単には繰り返さなくはなりません。3か月くらい調子がよくても、ぶり返すことが殆どです。6か月間保湿剤だけでかゆみが全く出なければ、塗り薬を止めてみてください。繰り返しを減らし良い状態を保ち自然治癒に導くには、プロトピックと保湿剤を塗り続けることが大切です。これらの薬は、ステロイドのように塗った翌日に効果を実感できなくても。

◆ 激しい発疹に効くシクロスポリン(ネオーラル)
 かゆみの激しい全身の皮疹を何とかしたい時には、炎症をピンポイントに抑える免疫調節剤の飲み薬、シクロスポリン(ネオーラル)が効果的です。3日~2週間程度試しに飲み、その効果をみてシクロスポリンの量を体重1kg当たり3~5mgで加減し、自分でもう良いかなと思えるまで1~数週間続けます。これにより、ステロイドの塗る量を減らし、プロトピックと保湿剤で更に良くするきっかけを作ります。飲んだり飲まなかったりも出来ます。 副作用として腎臓への負担と高血圧がありますが、40~50歳代までの方が数週間飲んで副作用が出ることはまずありません。シクロスポリン(ネオーラル)は、10年前(2008年)からアトピーに皮膚科医が使いこなしてきた薬です。比較的高価(後発品約180円/日~先発品360円/日)なため、より安価なステロイドを短期間飲み、副作用が出る前に止めてしまい良くすることも出来ます。

◆ 注射 デュピルマブ(デュピクセント®
 重症な症状を短期間に、重い副作用無く良くする効果が特長です。治療を受けるには皮膚科学的な皮疹の評価が必要で、注射はご紹介する指定医療機関で打ちます。詳しい冊子をご用意しておりますので、お気軽に医師にお申し付け下さい。詳しくはこちら
 
◆ 人それぞれ異なる治療への取り組み方|ステロイドが肌に合わない|患者会のご紹介
 アトピーへの思いは、人それぞれです。その背景には、長年病院にかかっていても良くならない、医者から言われる標準治療が自分には合わない、多忙や仕事などのストレスが病気を悪化させる、薬の副作用が心配など様々あります。このようなそれまで抱えていた疑問や、自分にしか分からない苦しみを人に伝えると、胸の中にあったモヤモヤしたものが取れ、その後の治療に前向きになるきっかけとなります。
 標準治療は医者が作った理想であり、きっちりと継続できるものではありません。完璧でなくても、標準治療でなくてもいいから自分のスタイルを続けるのもありで、例えばステロイド無理なのでかわりにワセリンや亜鉛華軟膏、プロトピックで治療に取り組むきっかけをつかむ人がいらっしゃいます。親御さんや親戚の方が相談に来院し、そこから新たなスタートを切った方もいらっしゃいます。アトピーを治したいという気持ちは同じでも、その取り組み方は人によって違いますし、それで良いはずです。
 ご自身の思いや経験を診察室や患者会など、何かの機会に思い切って話すと、予期せぬ進展が訪れることが多いように患者さんと接していて感じます。
ほかの人はどうしているのだろうと思ったら|患者会|認定NPO法人 日本アレルギー友の会

【子供のアトピー】
◆ 幼児から小学生
 肘の内側や膝の裏側をよく掻いたり、あせもが出来やすいといった症状をお持ちのお子さんはアトピー性皮膚炎のことがあります。このようなお子さんの中には、小児科で背中に貼るホクナリンテープや保湿剤をもらったことがあったり、水いぼやとびひになり易い傾向をお持ちです。アトピーのある肌を健康な状態に保つには、保湿剤やプロトピックが役立ちますので、ステロイドだけではなくこれらの薬も手元に用意し使い分けます。薬を塗る時には、見えている発疹やかゆみが無くなったところで良しとせず、さらに進んで見かけが正常な状態を維持し発疹やかゆみをぶり返さないことを目標にします。例えば、首やまぶたに手が行くのは癖ではなく、アトピーが原因のむずがゆさのせいですのでプロトピックで治します。お子さんにかゆいところを聞いても返事をしないからといって、薬を塗らなくてもよいとは限りません。言われてみると、パンツのラインをかいたり、襟やシャツのすそから手を入れて体をかいたり、ズボンの中に手を入れてかいている姿を見たことはありませんか。オチンチンをかく場合は、おねしょをするようなら、朝洗って保湿剤などを塗ると治ります。アトピー特有のかさついた梨の皮の様に見える肌は、保温剤を全身に塗り続けていると次第にしっとりとし、皮膚科医がみてもアトピーと分からなくなります。夜中にかゆがり、親が起こされ背中をさすってあげるような場合は医師にご相談ください。
 ご飯粒を押しつぶしたような、あるいはゴワゴワした皮疹は小さくても治りにくくいので要注意。1か月塗っても治らなかったり、ちゃんと塗って治したはずなのに気づいたら元に戻っていることが少なくないらです。そのような皮疹であっても、プロトピックで半年、1年かけて負けずに治してください。皮膚が薄く薬の吸収が良く治りやすい、親の管理が行き届く小さいうちに、治してしまうことが大切です。
 学校への提出物は、お持ち下されば記入しています。アトピーのために、プールや林間学校などを制限する必要はありません。
 いつも、どこか掻いていませんか。お子さんに「どこがかゆい」と尋ねても、教えてくれません。下の絵の場所を、大丈夫と思っても裸にして見て下さい。関節や折れ曲がったところが、かゆくなり易い場所です。きれいに治した後でも、何か月か前にあったなと思ったらプロトピックを塗っておいて下さい。

 耳切れと、耳を前に倒して裏側を見て下さい。
額 生え際に ほのかなくすみは、ありませんか。髪の毛の中の地肌が荒れていませんか。
 まぶたを擦りませんか。
 唇が荒れやすくありませんか。
 黒ずみは、治らない色素沈着だと思っていませんか。
わきの下 前側や後ろ側が赤くなったり、茶色くなっていませんか。
肘の内側 多くの方に症状がみられます。夏、汗をかくとかゆくなったり、消えないくすみはありませんか。
手首 茶色くくすんだり,深いしわはありませんか。
 ゴワゴワは治りにくくてもあきらめずに、プロトピックを何か月も塗って治します。薬は、関節を曲げて皮膚を伸ばして塗ります。
背中の上 夜中に寝ながら掻いてできた、引っ掻き傷はありませんか。
お尻・足の付け根(ビキニライン) パンツの中に手を入れたり、お風呂の前に掻きませんか。
お尻(パンツのボトムライン)お尻の肉を持ち上げて、シワを伸ばして見て下さい。
太ももの外側 ズボンやスカートを脱ぐと、指先で触っていませんか。
膝頭 膝をついて遊ぶため、擦れて悪化しやすい場所です。皮膚が厚く薬の吸収が悪いので、膝を曲げて伸ばしてから塗ってください。
膝の裏 多くの方がかゆみを繰り返す場所です。
足首 カサカサやゴワゴワはありませんか。
足の指 裏側に亀裂はないですか。

 
◆ 小学校高学年から中高校生
 受験やクラブで忙しくなり、親が言っても薬を塗らない塗らせなくなります。近づきすぎず、離れすぎずの適度な距離感を保ち、完璧でなくても良いので中断することなく治療を継続するようサポートします。親が誘っても病院に行きたがらなかったり、放課後の塾やクラブが影響して受診率が下がる時期ですので、気づぬうちに悪化することのないよう折に触れ良く見てあげるよう心がけます。親元を離れて過ごす全寮制の学校の場合は、自宅に帰った時に手持ちの薬の量を確認するといったことに配慮します。一旦良くなっても、男子は大学入学後の下宿や、男女問わず就職後の長時間勤務による生活の乱れとストレスが原因で、悪化することが経験されます。また、女子は育児や家事を始めると、手が荒れ易くなります。学業や仕事への影響を最小限にくい止めるためにも、親元を離れる前のこの時期に治療習慣の体得が望まれます。

【50才以上の方】
 プロトピックが若者よりも良く効き、殆ど治ってしまいます。繰り返す場合は、良くなった後も1~3か月塗り続けます。ゴワゴワした部分は、ステロイドで良くしてからプロトピックに変えます。

プロトピック  小児用プロトピック  クリームタイプの保湿剤  さらさらタイプの保湿剤

プロトピック

小児用プロトピック

クリームタイプの保湿剤

さらさらタイプの保湿剤



Q 血液検査で反応すると出た、卵やハウスダストが原因ですか。血液検査(IgE、TARC)は受けるべきですか。
A 卵やハウスダストなどに対するIgEの検査が反応すると出たからといって、食べてはいけない、あるいはそれを取り除けば治るとすぐには言えません。なぜなら、検査は実際に皮膚で起きている反応を再現していないからです。血液検査では卵やハウスダストなどと血液を混ぜて調べますが、調べるハウスダストや卵の白身は実際には血管の中を流れてはいません。消化されるなどして、血液の成分と反応するのです。このため、卵やハウスダストなどが検査で反応しても、皮膚炎やかゆみの原因には直接関わらないことがほとんどです※。しかし、お子さんの中には、卵などを食べた数分後に皮膚が赤くなって、かきむしるといった食物アレルギーを思わせる症状がみられることがあります。その場合は、制限すべき食物が何で、どのように制限するか慎重に検討します。食べた数分から30分の間に症状が出なければ、血液検査が陽性の食物を制限する必要はありません。
 このように卵やダニなど対するIgE検査が言えることには限りがありますが、それを知ったうえで検査することはご自分の病状を把握するうえで大切です。検査をするときには反応が出ることの多そうな項目を選び、お子さんなら食物を中心に、成人ではダニなどの環境抗原を中心に調べます。気になる、調べておきたい項目をおっしゃっていただければ追加できます。費用は、3割負担の方なら健康保険で1項目330円で調べることができます。多くの方は総IgEが上昇していますので、一緒に調べると参考になります。また、その時々のアトピーの悪化具合を調べるにはTARCと呼ばれる検査項目が有用で、3割の方で582円の負担で調べられます。アトピーが良くなるとTARCの数値もそれに応じて下がりますので、病状の目安となり治療をサポートしてくれます。
 当院では中学生以上の方を対象に血液検査をしていますので、ご希望の方はご遠慮なく医師にお申し付けください。小学生以下のお子さんの血管は細く、私には採血が難しいので小児科の先生にご相談ください。
 いずれも、糖尿病などとは異なり、アトピーの治療のために調べなけらばならない検査ではありません。

※ アレルギー検査の解釈は、アトピーと花粉症など他の疾患とでは異なります。

よくわかる食物アレルギー(発行:日本アレルギー協会) P15にアレルギー検査について詳しく書かれています

血液検査のみで「食物アレルギー」と思って除去しているあなたへ(アレルギーラボのサイトへ移動)

Q 原因は何ですか?治りますか?
A アトピーはいくつもの要素がそろって初めて発症し、いずれは自然と治る病気です。しかし、良くしても繰り返すのが問題です。実際、3か月くらい調子が良くても、その後悪化することは少なくありません。なぜなら、「調子がよい」状態には、目に見えないアトピーがまだ残っているからです。これを良くするにはプロトピックと保湿剤を使って、むずがゆさも黒ずみもないしっとりした肌にします。症状が出てから薬を塗るのではなく、症状に現れる前の火種をあらかじめ消しておくのです。調子が良くても病院に行って薬を補充し、いつもの薬を絶やさないことも大切です。
 発症に関わる要素に、肌の保湿成分の遺伝子に特徴のあることがあげられます。しかし、そのような特徴を持つ人全てがアトピーになるわけではありません。アトピーなのに遺伝子に特徴の無い人もいますので、体質だけが原因とは言い切れません。アトピーはこのような遺伝的背景のほかに、環境因子と呼ばれる気候やその時代の社会の衛生状態、さらには精神的ストレスなど、いくつもの要素が様々に組み合わさって発症すると考えられています。

Q 塗っても繰り返し、治りませんでした。
A 良くなっても、タクロリムス(プロトピック) を 出たところに広めに繰り返さなくなるまで塗り続けます。 成人が顔に1日1回塗ると、1か月で3本無くなりますので、担当医とタクロリムス(プロトピック) の塗る量や回数が少くないか確認してください。 繰り返さなくなったら1日おきに減らし、塗らない日は保湿剤を塗ります。
 繰り返すのは、目に見えない皮膚炎が治っていないからです。保湿剤だけで半年間かゆみが出なければ、一旦止めてみて下さい。

Q 季節の変わり目に悪くなります。東京に大学、就職、転勤で転居したら悪化しました。
A アトピーは、季節の変わり目に繰り返し悪くなることがあります。冬の乾燥や夏の汗で悪くなり、過ごしやすい春と秋に落ち着いていても、東京では6月に蒸し暑くなったり11月に乾燥してくると悪化します。このように、3~4か月調子が良くてもぶり返すことが多いため、大丈夫だと思っても薬が減ったら念のため病院に行って補充します。そして、汗をかいたら拭いたりシャワー等で流し、荒れやすい敏感肌には夏でも保湿剤を塗るスキンケアで対処します。
 季節による影響は地域により異なり、夏、寝苦しい東京で悪化しても高原や北日本ではそれほど悪くならず、冬に湿度の高い日本海側では乾燥する太平洋側ほど悪くはなりません。気候のほかにストレスも影響し、睡眠不足や不規則な生活、家事をやってもらえた親元を離れての下宿や就職、単身赴任などで悪くなります。このため、上京すると悪化することがあります。
 東京の夏は高温多湿で冬は異常乾燥注意報が出され、終電に近づくほど電車が混むなどストレスも多く、仕事や学業に励むに当たり十分なスキンケアが望まれます。

Q 薬は何回、いつ塗ったら良いですか。
A 入浴後ないし寝る前に1回、悪いところは朝も2回塗るのが基本です。しかし、これにこだわる必要はありません。実際、朝は忙しいので気づいたところだけ、お風呂上りも疲れて忙しくて結局1週間、塗ろうと思ったが殆ど塗れなかった、ということはよくあります。休みの日のお昼に、冬なら暖房を入れた部屋で、20分くらいかけてのんびりテレビの前で丁寧に塗るのも良くするコツです。以前かゆくなったったところは今は何ともなくてもプロトピック、かゆみだけ出るところもプロトピック、ザラザラかゆいところはステロイド、その他のところは全身に保湿剤。

Q 「夜中に眠りながらかいている」と家族に言われます。朝起きると爪の間に血が付いて、パジャマが血で汚れています。夜かゆがって泣く子供に起こされます。かゆみ過敏とは何ですか。かゆみ止めの飲み薬は効きますか。
A 同じように感じても、アトピーには2種類のかゆみがあります。一つは、赤くブツブツした皮膚炎に伴うかゆみで、虫刺されやかぶれと同じようにステロイドの塗り薬が効きます。もう一つは、何もないのにかゆい「かゆみ過敏」の状態で、例え強いステロイドを塗っても効かずプロトピックで治します。かゆみ過敏は、皮膚の表面まで神経が伸びたことが原因です。プロトピックが効きますが即効性は無く、塗った翌日に良くならなくても1か月もすると楽になったことが分かります。お子さんに夜起こされることも、減ったり無くなります。
 かゆみ止めの飲み薬(抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬)の効果は人それぞれですので、効いていると感じるなら飲んだ方が良いと思います。逆に、効いた感じがしなければ、飲まなくても良いと思います。詳しい研究によると、飲まないより飲んだ方が、飲んだり飲まなかったより毎日飲んだ方が良いことが分かっていますが、その差はわずかです。かゆみ止めの飲み薬の説明に抗アレルギー薬とあるとアレルギー体質が根本から治るというイメージを与えますが、ヒスタミンの作用を阻害する以上のはっきりした臨床効果は明らかにされていません。抗アレルギー薬とは、眠くなりにくい抗ヒスタミン薬に対する日本市場における呼び方です。

Q 仕事が忙しくなると/試験が近づくと悪化して、かゆみでどうにもならなくなります。
A アトピーはストレスで悪化しますが、そういう時に限って薬が塗れず病院にもいけません。そのようなことのないよう、状態が良くても定期的に病院に行き、悪くなった時用の薬を処方してもらっておくことも大切です。悪くなる場所は決まっていますので、今までかゆみが出た場所を思い出して、状態が良いので大丈夫だと思ってもタクロリムスや保湿剤を塗ると悪化しにくくなります。週末は、普段より時間をかけて薬を塗るのも効果的です。

Q 保湿を続けているのに、カサカサやかゆみが治りません。
A 乾燥が原因の軽い症状に、保湿剤が効くことがあります。しかし、2~3日塗っても治らなければ、それ以上続けても良くなりません。悪化させることにもなりかねませんので、タクロリムス(プロトピックやステロイドを使った皮膚炎の治療に一旦変え、良くなったら再び保湿剤に戻します。保湿剤を塗る目的は、一見正常に見える刺激に反応しやすい敏感肌を、健康な肌に補正することです。そのため、保湿剤はかさついた部分ではなく、何も出来ていないところに広めに塗ります。

Q 汗をかくと悪化します。
A 汗をかくことは良いことで、肌にうるおいを与えアトピーによく働きますので、プールや運動などを制限する必要はありません。しかし、かいた汗を放置するとかゆい皮疹が出来やすいので、かいた汗は拭き、手を洗う時には肘の内側まで洗い、汗で汚れた服は着替え、帰宅後はシャワーで汗を流すように心がけます。

Q 夏でも保湿剤は塗った方が良いですか。
A 汗をかいてしっとりしていても、アトピーの皮膚のバリア能は傷ついており敏感肌であることには変わりありませんので、夏も保湿剤を塗ることは大切です。さらっとしたローションタイプでも、そちらの方が肌の調子が良いようならクリームタイプを選んでも、両方を場所により使い分けても結構です。

Q 石鹸は使った方がいいですか。どのような石鹸を選んだら良いですか。
A アトピーは皮膚の汚れで悪化しますので、石鹸を使って汚れを落とすことは肌に良く働きます。しかし、石鹸を使いすぎると皮膚のしっとり感が失われてしまい、逆にアトピーを悪化させてしまいます。
このため、首回りや肘や膝の裏側などは石鹸を普通に使い、腕の外側やすね等の汚れにくい部位は石鹸を使ってさっと洗います。石鹸の種類は、普段ご家庭で使っているもので結構で、治療のために特別な石鹸を用意する必要はありません。
 アトピーに良いとか敏感肌用と称して売られている石鹸は、汚れは取るが皮膚の保湿成分は取り除かない特長をもち、使用感も優れています。しかし、通常の石鹸に比べて高価なため、お好みでお選びいただく性格のものと私は考えています。このような代表的な製品として、下記のようなものがあります。

ビオレu泡(花王) キュレル(花王) コラージュ(持田ヘルスケア) NOV セバメド(ロート製薬) アトピコ(大島椿) ドゥーエ(資生堂) アクセーヌ ラロッシュポゼ

Q 入浴剤を使いたいのですが、どのような商品を選んだらよいですか。
A 保湿性のある下記のようなものが良く、硫黄が入っているものは肌をかさつかせます。
コラージュDメディパワー保湿入浴剤(持田ヘルスケア) ミノン薬用保湿入浴剤(第一三共ヘルスケア)

Q ステロイド以外の塗り薬がありますか。
A 皮膚炎に効くもう一つの薬に、タクロリムス(プロトピック)があります。ステロイドを長期に塗ったときに出る副作用である、皮膚を薄くさせたり血管を拡張させることはありません。激しい発疹を治す力はステロイドほどありませんので、ステロイドである程度良くなったらタクロリムス(プロトピック)に変えると、弱いステロイドに変えるより更に良くなります。

Q ステロイドで良くしても、また元に戻ります。
A 一見良くしても繰り返すのは、目に見えない皮膚炎が治り切らずに残っているからです。アトピーでなければほっといても自然に治ってしまうような皮膚炎が、良くなっても火種の様に消えずに残っているのです。そこへもってきて、アトピーは一見普通に見えても、全身、敏感肌です。ですから、かきっぱなしの汗や乾燥等により、容易に皮膚炎が悪化して元に戻ってしまうのです。このぶり返しを防ぐには、ステロイドで良くしても残っている皮膚炎を、プロトピックで抑え再び勢いづかせないことです。
 プロトピックを塗る場所はまぶた、首回り、背中の上、肘の内側、膝の裏などです。つまり、今は調子が良くても過去に繰り返した所や、何も出来ていなくてもむずがゆくなったり癖で手が行く所なら、全身どこにでも塗れます。塗る頻度は2日に1回でも、週に1回でもかゆみやカサカサ等が出なければ結構です。もしもぶり返したら塗り方が足りなかったので、次からはプロトピックを塗る範囲や回数を増やします。
 同時に、保湿剤をそれ以外の何でも無いところにも塗って、全身の敏感肌を補正します。保湿剤はカサカサにではなく、何でもないところに塗ります。ステロイドは、プロトピックを1日2回塗っても治らなかったら一時的に使う、おさえの薬として手元に控えておきます。
 このようにアトピーを良くする鍵は、ステロイドで良くした後のプロトピックの使い方にあります。

Q 何気なく目に手をやることがありますが、家族が聞いてもかゆいとは答えません。気にしなくてよいですか。
A 赤くかゆそうな発疹が無く一見正常でも、アトピーのためにむずがゆくなったり髪の毛でチクチクすることがあります。顔に手がいくのはそのためですが、本人に尋ねても自覚していないことが殆どです。原因は目に見えない皮膚炎やかゆみ過敏ですので、保湿剤で改善されない場合はプロトピックで治します。目がかゆいといっても、正確にはかゆいのは皮膚である『まぶた』です。

Q 目に薬は塗れますか。
A まぶたのかゆみや腫れは、タクロリムス(プロトピック®)で治せます。まぶたの皮膚は薄いので、薬の吸収が良く治りやすい場所です。ステロイドは漫然と塗り続けると眼圧を上げる副作用のでることがありますが、タクロリムス(プロトピック®)にそのような副作用はありません。タクロリムス(プロトピック®)を塗って熱くなったりかゆくなるようなら、少しずつ狭い範囲から塗って慣らしたり、1~2日ステロイドを塗って良くしてからタクロリムス(プロトピック®)に変えます。そして、無意識に手がいかなくなるまで、塗り続けます。かゆいまぶたを激しく搔いたり叩くと、目を傷めるので良くして下さい。

Q 乳首のジクジクが治らず、切れて痛みます。
A ほかの部位と同様にステロイドを塗って良くした後、プロトピックや保湿剤などを使います。男性はこれでうまくいきますが、女性が良くならない場合は、別のページに記載されていますのでこちらをクリックしてください。

Q 首回りや肘の、色素沈着が消えません。
A アトピーでみられる黒ずみの原因は、治りきっていない皮膚炎です。そのため、タクロリムス(プロトピック)を十分な量塗り続けると、何カ月もかかりますが徐々に本来の肌の色に戻っていきます。塗る量の目安は、首なら1日1回、チューブ1本が1~2週間で無くなる量です。

Q タクロリムス(プロトピック)を塗ったら、熱くヒリヒリしてかゆみも増して使えませんでした。子供がかゆがって夜中に泣き、親も起こされ眠れませんでした。
A プロトピックを塗ると火照ったりかゆくなり、特にお子さんの肌は敏感なため夜中に泣いたり、お風呂のお湯に触れると嫌がり塗れないことがあります。このような場合にはステロイドや保湿剤をしばらく塗ってから、再びプロトピックを塗ってみて下さい。綺麗な部分を選んで、最初は指先ほどの狭い範囲から毎日少しずつ塗り広げていくのが良いと思います。
 このような火照りやかゆみは、唐辛子と似た作用をプロトピックが神経に及ぼすためです。多少の刺激なら薬を塗り続けると無くなるのは、目に見えない皮膚炎をプロトピックが治すからです。プロトピックは薬の粒(分子量)が大きいため、正常の皮膚からは吸収されず刺激は起きません。しかし、アトピーの肌は綺麗に見えても目に見えない皮膚炎があるため薬が吸収され火照りやかゆみを引き起こします。きれいなところに塗って熱くなったりかゆくなったら、そこは正常ではないということです。
 刺激が激しかったり、いつまでも続く場合は先発品に変えてみるのも一法です。
 プロトピックの刺激を避けるためには、いきなり広範囲に塗らず狭い範囲から塗り始めるのがポイントです。

Q ステロイドを塗ると、茶色いシミが残り消えなくなりますか。日に当たってはいけない薬ですか。
A ステロイドに肌の色を茶色くさせる働きはなく、正常な皮膚に塗っても茶色くなることはありません。ところが、アトピーが完全に治っておらず、かゆみを感じない程度の弱い炎症が残っていると、首や肘の内側などの茶色味が何年経っても消えないように見えます。そのような茶色味はステロイドのせいのように思えるかもしれませんが、治りきっていないアトピーによる変化ですのでプロトピックを塗ると半年から1年ぐらいかけて落ちていきます。
 ステロイドには、日に当たって肌を茶色くさせる作用もありません。
 厚生労働省研究班「アトピー性皮膚炎の既存治療法のEBMによる評価と有用な治療法の普及」一般向けQ&Aも、ご参照ください。

Q ステロイドを塗り続けると効かなくなりますか。
A ベリーストロングに分類されるステロイドを月に100g、半年以上塗り続けると、最初はスッと治っていたかゆみが、塗っても最初程良くならず悪化する間隔も短くなります。これが、ステロイドが効かなくなると俗に言われる現象で、タキフィラキシーと専門用語で呼ばれています。誤解のある例えですが、皮膚がアル中になったようなものです。効かなくなったら、ステロイドをしばらく塗らないでおくと効くようになりますが、むやみやたらにそんなことをしたら更に悪化して危険です。無理をせず徐々に塗れるところからタクロリムスに変えるとか、シクロスポリンを短期間飲むとかしてステロイド断ちを試みます。慎重に気長にやれば、だいたいうまくいき、アトピーも良くなります。

Q プロトピックには発癌性があるのですか。日に当たっても大丈夫ですか。
A ネズミにプロトピックを塗った実験で、リンパ腫という癌の発生率が増えることが分かっています。
 しかし、この事実よりプロトピックを塗ると癌になりやすくなるとは考えられていません。なぜなら、使ったネズミは実験用に改良されているため何もしなくてもリンパ腫になる傾向があり、塗った薬の量は人に換算すると非常に多いという条件での話しだからです。飛躍のある例えですが、「塩分の取り過ぎで脳卒中になるが、みそ汁は飲んでも大丈夫か。」と考えるようなものだと私は思います。さらに、プロトピックを使った170万人中11名にリンパ腫を患われた方がいらっしゃいますが、その頻度は普通の人がリンパ腫になるのより低いため、原因はプロトピックではなく自然になったと考えられています。長期使用による安全性についても、国内の5年間使用については問題はみられず、10年間使用のデータがこれから出されます。
 動物実験の結果はこのように解釈され、プロトピックはアメリカ、EU、アジア等多くの国々で安全性と効果に対する審査を経て使われています。

 朝プロトピックを塗って外に出ても、健康上問題となることは起こりません。しかし、プロトピックには炎症を抑える働きがあるため、強い紫外線にさらされる日光浴、海水浴、日焼けサロンなどでは使用しないよう勧められています。

 詳しくは、日本皮膚科学会「タクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)使用中およびこれから使用される患者さんへ」をご覧下さい。


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