京急蒲田駅直結の皮膚科、たけうち皮フ科クリニック

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アトピー性皮膚炎

◆ アトピーとは
 出された薬を塗った時は治るが、しばらくすると同じ場所に皮膚炎を繰り返し、激しいかゆみに襲われることもあります。このような薬塗りとかゆみは、本人のみならず家族にとっても日常生活の重荷となります。その経済損失は、1カ月約4,690億円(アトピーを含むアレルギー性皮膚疾患)と試算されています。一方、皮膚の症状より診断される病気ですので、皮膚炎が穏やかですと何度か診察しないとアトピーと分からないこともあります。これ以上良くなる様子が感じられない場合は、どの皮疹に何を塗るか薄く塗っていないか再確認するのもポイントです。病院に通っている人は、推計45万6,000人。良くなるが治りにくい、治りにくいが治る病気です。
 
 目 次 
原因
大人のアトピーは治りますか?
3つの塗り薬を使い分ける
激しい発疹に効くシクロスポリン
◆ 注射 デュピルマブ
薬を塗るのは大変
人それぞれ異なる治療への取り組み方|患者会のご紹介
◆ 子供のアトピー(幼児から小学生小学校高学年から中高校生)
Q 血液検査で反応すると出た、卵やハウスダストが原因ですか。血液検査(IgE、TARC)は受けるべきですか。
Q 薬はいつまで塗るのですか。
Q 季節の変わり目に悪くなります。東京に大学、就職、転勤で転居したら悪化しました。
Q 薬は何回、いつ塗ったら良いですか。
Q べとべとした塗り薬が合いません。
Q 「夜中に眠りながらかいている」と家族に言われます。朝起きると爪の間に血が付いて、パジャマが血で汚れています。夜かゆがって泣く子供に起こされます。かゆみ過敏とは何ですか。かゆみ止めの飲み薬は効きますか。
Q 保湿を続けているのに、カサカサやかゆみが治りません。
Q 汗をかくと悪化します。
Q 夏でも保湿剤は塗った方が良いですか。
Q 石鹸は使った方がいいですか。どのような石鹸を選んだら良いですか。
Q 入浴剤を使いたいのですが、どのような商品を選んだらよいですか。
Q ステロイドで良くしても、また元に戻ります。
Q 目に薬は塗れますか。
Q 乳首のジクジクが治らず、切れて痛みます。
Q 首回りや肘の、色素沈着が消えません。
Q タクロリムスを塗ったら、熱くヒリヒリしてかゆみも増して使えませんでした。子供がかゆがって夜中に泣き、親も起こされ眠れませんでした。
Q ステロイドを塗ると、茶色いシミが残り消えなくなりますか。日に当たってはいけない薬ですか。
 
◆ 原因
 アトピーの皮膚は、一見正常に見えても全身が敏感肌です。その原因は、皮膚の表面の保湿成分が少ないドライスキンにあります。敏感肌のため、夏のかいたままの汗や冬の乾燥などで、かゆい皮膚炎(湿疹)をしばしば繰り返します。体以外の原因としては、気候やその時代の社会の衛生状態、さらには精神的ストレスなど、いくつもの要素が様々に組み合わさってアトピーは発症すると考えられています。
 実際、居心地の良い温暖な住み慣れた故郷を離れ、夏は熱帯夜、冬は異常乾燥注意報がでる東京で仕事に追われ、家族や友人のいない部屋に寝に帰る暮らしを一人で送ると、アトピーが悪化することはしばしば経験されます。同様に、東南アジア出身の方が東京勤務となり、母国では子供の頃からなかったアトピーの症状に悩まされることもあります。逆に、長年のアトピーが転居や海外勤務に伴い治ってしまうこともあります。過去に、小児のアトピーが、ドルフィン療法と称して沖縄でイルカと遊んで過ごすと良くなった理由は、お子さんがお母さんとリラックスして、医師の指導のもとスキンケアが十分にでき、紫外線の穏やかな炎症を抑える作用によると考えられます。(注:アトピーを日光浴で良くすることは、医学的に勧められていません。)
 昭和40年頃まではアトピーが少なく現代に多くなった理由は、体の免疫力がばい菌と戦うことに忙しくアトピーになる余裕が無かったからと考えられています。

◆ 大人のアトピーは治りますか?
 年齢とともにアトピーの人の数は減ることが患者アンケートでも医師による検診でも明らかにされており、アトピーは年齢とともに自然と治っていきます。実際、子供の頃のひどいアトピーが、大人になって治ったという人を診察することがあります。それなのに、治るとはっきり答えない医師が私を含め殆どですし、公開講座で質問しても治るとも治らないとも答えません。このような違いは、世間一般でいう治るという意味と、医学でいう治癒のそれとが異なることからきています。
 アトピーはアトピー素因と呼ばれる体質に、気候やストレスなどの環境因子が複雑に絡み合ってなります。アトピー素因は、アトピーがなくても人口の何割かは知らずに持っているでしょうし、アトピーが治った後にもやはり残っています。このように潜在するアトピー素因を特定し無くすこと、つまり治癒できないことが医師にとっては問題なのです。そのため、医学を市民に責任もって説明する立場にある医学専門家は、治る病気と公の場で安易に口にできないのです。
 治った人が、どうしたから治ったのか一定しないのもアトピーの特徴です。このため、一人一人にあなたの場合はこのようにすれば何才頃に治りますとお話しできません。治る方法とその時期について納得いただけるまで短い診察時間の中で説明しきれないことも、医師が治るかどうか明言を避けたがる理由です。

◆ 3つの塗り薬を使い分ける
 かゆい発疹には即効性が特長のステロイドを、繰り返すところにはステロイドで良くした後にタクロリムスを、それ以外の一見正常な肌には保湿剤を使い分けます。

悪化時のおさえにステロイド 
 ステロイドは様々な強さがあり、皮膚の厚さと皮膚炎の程度によって使い分け、塗って数日で良くなる強さのものを選びます。ステロイドで良くしてもその場限りでまた繰り返しますので、治ったところを覚えておいて、次に書かれているタクロリムスや保湿剤を塗り続けることが、大変ですが大切です。大量、長期に使い続けると皮膚が薄くなったり毛細血管が浮き出る副作用が気になりますが、良くなったらタクロリムスに変更しますので、実際に副作用が目に見えるような形で現れることは稀です。ステロイドは何となく不安と感じている人が多いことは、医学専門家によるアンケートでも明らかにされていますが、十分な強さと量のステロイドの適切な使用が治療には欠かせません。

鍵を握るLife-changing drugタクロリムスを使いこなす タクロリムスは、ステロイドを塗っても繰り返す皮膚炎を良くする特長があります。1993年に登場した際にはそれまでのアトピーの治療を一変させたため、アメリカで患者さんからLife-changing drugと呼ばれました。
 タクロリムスはステロイドではないため、皮膚を薄くしたり毛細血管を拡張させることはなく長期に使えます。全身に塗れ、特に繰り返しやすいまぶたや首や肘の内側、膝裏などはタクロリムスの効果が現れやすい場所です。また、首や肘の内側、膝裏などの黒ずみは、治らない色素沈着誤解されていることがありますが、弱い皮膚炎が治り切っていない状態ですので,数ヶ月から1年以上かかりますがタクロリムスを使い続けると回りと同じ白い肌に戻っていきます。
 注意する点としては、ステロイドで良くしてから使わないと、熱くなったりかゆくなったりします。2歳から使われており、弱いステロイドを使うよりメリットがあります。

敏感肌は保湿剤で健常に補正 正常に見えてもアトピーのある皮膚は全身で保湿成分が少なく、これが原因で湿疹やかゆみ起こしやすい敏感肌の状態にあります。このため、何も塗らないところには、保湿剤を塗ると敏感肌が補正されます。

◆ 激しい発疹に効くシクロスポリン
 かゆみの激しい全身の皮疹を何とかしたい時には、炎症をピンポイントに抑える免疫調節剤の飲み薬、シクロスポリンが効果的です。3日~2週間程度試しに飲み、その効果をみて1~数週間続けます。これにより、ステロイドの塗る量を減らし、タクロリムスと保湿剤で更に良くするきっかけを作ります。飲んだり飲まなかったりも出来ます。 
 副作用として腎臓への負担と高血圧がありますが、40~50歳代までの方が数週間飲んで副作用が出ることはまずありません。また、菌への抵抗力は弱める方に働きますので、風邪気味だったり体調が悪い時には止めてください。このようなときに飲み続けると、突然38℃の熱が出たりします。
 シクロスポリンは、10年前(2008年)からアトピーに皮膚科医が使いこなしてきた薬です。比較的高価(後発品約180円/日~先発品360円/日)です。

◆ 注射 デュピルマブ
 激しいかゆみを速やかに良くする効果に加え、内臓への副作用の無いことが特長の新しい注射です。治療を受けるには、標準治療を適切に続けていることと、激しい発疹がある程度の範囲または顔や首にみられることが必要です。2週間ごとの1回の注射代は、3割負担で約2万5千円。詳しくはこちら

◆ 薬を塗るのは大変
 塗り薬の欠点は労力と時間がかかり、とにかく面倒くさいことです。ある程度悪い症状には、飲み薬のシクロスポリンや注射のデュピルマブが有効ですが、塗り薬は欠かせません。塗り薬を入院し朝晩、医師と看護師が全身に塗ると短期間に良くなります。しかし、それと同じことを、仕事や学校から疲れて帰ってきて一人で毎日できるかというと難しい相談です。お子さんがアトピーなら、塗り薬の負担は親が背負うことになります。塗り薬の大変さを如実に語る逸話があります。注射をするとそれまで塗っていた薬がいらなくなる病気がありますが、それでよくなった人の口から漏れるのは長年の塗り薬から解放された喜びです。
 医師にとっても、塗り薬はストレスフルな方法です。塗る場所やその量、薬の使い分けを患者さんにやってもらうため、思い通りに治療がはかどらない欠点があるからです。患者さんの恣意が及ぶことのない注射や飲み薬、手術とは治り具合が違うのです。このため、塗り薬に対する患者さんの十人十色の考えに思いを寄せようと努めてはいますが、限られた診察時間の中で分かってさしあげられないことは少なくありません。『塗り薬には抵抗があり今のままでよい』という考えをお持ちの方がいらっしゃる一方で、『言われた通りやって良くなり、塗っていれば繰り返さないのでこれ以上説明しなくてよい』と言われることもあり、気づいてさしあげられないことは多いと思っています。
 お気づきのように、治療への取り組み方には患者と医師の間で隔たりがあります。医師が患者にいかに薬を塗ってもらうかについての検討はされてきましたが、一人一人の患者がどのような治療を望んでいるかについての検討は十分にはなされておらず、アトピーを良くしていくための医師にとっての課題とされています。
 大切なのは、調子が良くても手持ちの薬を絶やさないことです。

◆ 人それぞれ異なる治療への取り組み方|患者会のご紹介
 アトピーへの思いは、人それぞれです。その背景には、長年病院にかかっていても良くならない、医者から言われる標準治療が自分には合わない、多忙や仕事などのストレスが病気を悪化させる、薬の副作用が心配など様々あります。実際、病院に行っても解決しないこととして、集中力が低下し仕事・学業・家事に支障が出る、治療費がかかる、ストレスがたまりイライラする、見た目(外見)が気になる、完治せず不安、があります。このような疑問や問題は、患者会に参加すると考えを整理するきっかけが作れます。

ほかの人はどうしているのだろうと思ったら|患者会|認定NPO法人 日本アレルギー友の会

医師と患者 ふたつの視点で考えるアトピー性皮膚炎、古江増隆(九州大学教授)・認定NPO法人日本アレルギー友の会、かざひの文庫

【子供のアトピー】
◆ 幼児から小学生
 乾燥肌と言われ、肘の内側や膝の裏側を掻いたり、あせもが出来やすいといった繰り返す症状はアトピーのことがあります。大人と異なり、この時期のアトピーは医師の診察のもと適切な軟膏療法を続けていると、徐々に良くなりそのほとんどが自然に良くなってしまう特徴があります。治る方向に向かわせるには、かゆいザラザラはステロイドで良くし、きれいなところには保湿剤を塗って良くなった状態を維持することが大切です。
 それをやっても、しばらくすると肘や膝がかゆくなったり、お風呂でお腹を掻いているのはきれいに見えても皮膚炎が残っているからです。このような、一見何もなくても皮膚炎が潜在する肌にはタクロリムスを塗ります。タクロリムスは2才から使え塗り方にコツがありますが、使いこなせれば更に一歩快方に向かいます。
 薬の塗り方は1回の診察では分かりにくいので、その都度医師にご確認ください。ステロイド、タクロリムス、保湿剤のいずれかを、症状がない場所にも長期に塗るのは大変な作業ですが、親の管理が行き届き、自然に治りやすい小さいうちに良くしてしまうことが大切です。6か月間保湿剤だけでかゆみや赤みが全くでなければ、一旦止めてみてください。

 お子さんがかゆがらないから、薬を塗らなくても大丈夫とは限りません。言われてみると、パンツのラインをかいたり、襟やシャツのすそから手を入れて体をかいたり、ズボンの中に手を入れてかいている姿を見たことはありませんか。オチンチンをかく場合は、おねしょをするようなら、朝洗って保湿剤などを塗ると治ります。夜中にかゆがり、親が起こされ背中をさすってあげるような場合は医師にご相談ください。
 学校への提出物は、お持ち下されば記入しています。ただし、食事制限を受けている方は、食事制限を指導している医師に記入をお願いしてください。アトピーのために、プールや林間学校などを制限する必要はありません。

 
◆ 小学校高学年から中高校生
 受験やクラブで忙しくなり、親が言っても薬を塗らない塗らせなくなります。近づきすぎず、離れすぎずの適度な距離感を保ち、完璧でなくても良いので中断することなく治療を継続するようサポートします。親が誘っても病院に行きたがらなかったり、放課後の塾やクラブが影響して受診率が下がる時期ですので、気づぬうちに悪化することのないよう折に触れ良く見てあげるよう心がけます。親元を離れて過ごす全寮制の学校の場合は、自宅に帰った時に手持ちの薬の量を確認するといったことに配慮します。一旦良くなっても、男子は大学入学後の下宿や、男女問わず就職後の長時間勤務による生活の乱れとストレスが原因で、悪化することが経験されます。また、女子は育児や家事を始めると、手が荒れ易くなります。学業や仕事への影響を最小限にくい止めるためにも、親元を離れる前のこの時期に治療習慣の体得が望まれます。

 一般向けアトピー性皮膚炎に関する情報|九州大学皮膚科
 日本アレルギー協会 よくわかるアトピー性皮膚炎

Q 血液検査で反応すると出た、卵やハウスダストが原因ですか。血液検査(IgE、TARC)は受けるべきですか。
A 卵やハウスダストなどに対するIgEの検査が反応すると出たからといって、食べてはいけない、あるいはそれを取り除けば治るとすぐには言えません。なぜなら、検査は実際に皮膚で起きている反応を再現していないからです。血液検査では卵やハウスダストなどと血液を混ぜて調べますが、調べるハウスダストや卵の白身は実際には血管の中を流れてはいません。消化されるなどして、血液の成分と反応するのです。このため、卵やハウスダストなどが検査で反応しても、皮膚炎やかゆみの原因には直接関わらないことがほとんどです※。しかし、お子さんの中には、卵などを食べた数分後に皮膚が赤くなって、かきむしるといった食物アレルギーを思わせる症状がみられることがあります。その場合は、制限すべき食物が何で、どのように制限するか慎重に検討します。食べた数分から30分の間に症状が出なければ、血液検査が陽性の食物を制限する必要はありません。
 このように卵やダニなど対するIgE検査が言えることには限りがありますが、それを知ったうえで検査することはご自分の病状を把握するうえで大切です。検査をするときには反応が出ることの多そうな項目を選び、お子さんなら食物を中心に、成人ではダニなどの環境抗原を中心に調べます。気になる、調べておきたい項目をおっしゃっていただければ追加できます。費用は、3割負担の方なら健康保険で1項目330円で調べることができます。多くの方は総IgEが上昇していますので、一緒に調べると参考になります。また、その時々のアトピーの悪化具合を調べるにはTARCと呼ばれる検査項目が有用で、3割の方で582円の負担で調べられます。アトピーが良くなるとTARCの数値もそれに応じて下がりますので、病状の目安となり治療をサポートしてくれます。
 当院では中学生以上の方を対象に血液検査をしていますので、ご希望の方はご遠慮なく医師にお申し付けください。小学生以下のお子さんの血管は細く、私には採血が難しいので小児科の先生にご相談ください。
 いずれも、糖尿病などとは異なり、アトピーの治療のために調べなけらばならない検査ではありません。

※ アレルギー検査の解釈は、アトピーと花粉症など他の疾患とでは異なります。

よくわかる食物アレルギー(発行:日本アレルギー協会) P15にアレルギー検査について詳しく書かれています

Q 薬はいつまで塗るのですか。
A 薬で良くしても、繰り返す病気です。良くなっても、目に見えない皮膚炎が残っており、敏感肌でもあるからです。繰り返しの予防には、保湿剤をきれいなところにも塗ります。これでも繰り返したりかゆくなるようなら、治っていても潜在する皮膚炎に対してタクロリムスを塗ります。このようにして良い状態を維持しますが、3か月くらい良くても季節の変わり目にかゆくなることがしばしば起こります。半年間、保湿剤だけでかゆみが出なければ、一旦止めてみて下さい。

Q 季節の変わり目に悪くなります。東京に大学、就職、転勤で転居したら悪化しました。
A アトピーは、季節の変わり目に繰り返し悪くなることがあります。冬の乾燥や夏の汗で悪くなり、過ごしやすい春と秋に落ち着いていても、東京では6月に蒸し暑くなったり11月に乾燥してくると悪化します。このように、3~4か月調子が良くてもぶり返すことが多いため、大丈夫だと思っても薬が減ったら念のため病院に行って補充します。そして、汗をかいたら拭いたりシャワー等で流し、荒れやすい敏感肌には夏でも保湿剤を塗るスキンケアで対処します。
 季節による影響は地域により異なり、夏、寝苦しい東京で悪化しても高原や北日本ではそれほど悪くならず、冬に湿度の高い日本海側では乾燥する太平洋側ほど悪くはなりません。気候のほかにストレスも影響し、睡眠不足や不規則な生活、家事をやってもらえた親元を離れての下宿や就職、単身赴任などで悪くなります。このため、上京すると悪化することがあります。
 東京の夏は高温多湿で冬は異常乾燥注意報が出され、終電に近づくほど電車が混むなどストレスも多く、仕事や学業に励むに当たり十分なスキンケアが望まれます。

Q 薬は何回、いつ塗ったら良いですか。
A 入浴後ないし寝る前に1回、悪いところは朝も2回塗るのが基本です。しかし、これにこだわる必要はありません。実際、朝は忙しいので気づいたところだけ、お風呂上りも疲れて忙しくて結局1週間、塗ろうと思ったが殆ど塗れなかった、ということはよくあります。休みの日のお昼に、冬なら暖房を入れた部屋で、20分くらいかけてのんびりテレビの前で丁寧に塗るのも良くするコツです。以前かゆくなったったところは今は何ともなくてもタクロリムス、かゆみだけ出るところもタクロリムス、ザラザラかゆいところはステロイド、その他のところは全身に保湿剤。

Q べとべとした塗り薬が合いません。
A さらっとしたクリームやローションタイプのステロイドや保湿剤もありますので、塗り心地を試されて下さい。これらのタイプは薄く伸びますが、できれば伸ばさない方が効きます。頭皮にはローションが使い易く、シールタイプのステロイドは、治りにくい指や踵のあかぎれなどに好んで使われます。タクロリムスは軟膏しかありません。

Q 「夜中に眠りながらかいている」と家族に言われます。朝起きると爪の間に血が付いて、パジャマが血で汚れています。夜かゆがって泣く子供に起こされます。かゆみ過敏とは何ですか。かゆみ止めの飲み薬は効きますか。
A 同じように感じても、アトピーには2種類のかゆみがあります。一つは、赤くブツブツした皮膚炎に伴うかゆみで、虫刺されやかぶれと同じようにステロイドの塗り薬が効きます。もう一つは、何もないのにかゆい「かゆみ過敏」の状態で、例え強いステロイドを塗っても効かずタクロリムスで治します。かゆみ過敏は、皮膚の表面まで神経が伸びたことが原因です。タクロリムスが効きますが即効性は無く、塗った翌日に良くならなくても1か月もすると楽になったことが分かります。お子さんに夜起こされることも、減ったり無くなります。
 かゆみ止めの飲み薬(抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬)の効果は人それぞれですので、効いていると感じるなら飲んだ方が良いと思います。逆に、効いた感じがしなければ、飲まなくても良いと思います。詳しい研究によると、飲まないより飲んだ方が、飲んだり飲まなかったより毎日飲んだ方が良いことが分かっていますが、その差はわずかです。かゆみ止めの飲み薬の説明に抗アレルギー薬とあるとアレルギー体質が根本から治るというイメージを与えますが、ヒスタミンの作用を阻害する以上のはっきりした臨床効果は明らかにされていません。抗アレルギー薬とは、眠くなりにくい抗ヒスタミン薬に対する日本市場における呼び方です。

Q 保湿を続けているのに、カサカサやかゆみが治りません。
A 乾燥が原因の軽い症状に、保湿剤が効くことがあります。しかし、2~3日塗っても治らなければ、それ以上続けても良くなりません。悪化させることにもなりかねませんので、タクロリムスやステロイドを使った皮膚炎の治療に一旦変え、良くなったら再び保湿剤に戻します。保湿剤を塗る目的は、一見正常に見える刺激に反応しやすい敏感肌を、健康な肌に補正することです。そのため、保湿剤はかさついた部分ではなく、何も出来ていないところに広めに塗ります。

Q 汗をかくと悪化します。
A 汗をかくことは良いことで、肌にうるおいを与えアトピーによく働きますので、プールや運動などを制限する必要はありません。しかし、かいた汗を放置するとかゆい皮疹が出来やすいので、かいた汗は拭き、手を洗う時には肘の内側まで洗い、汗で汚れた服は着替え、帰宅後はシャワーで汗を流すように心がけます。

Q 夏でも保湿剤は塗った方が良いですか。
A 汗をかいてしっとりしていても、アトピーの皮膚のバリア能は傷ついており敏感肌であることには変わりありませんので、夏も保湿剤を塗ることは大切です。さらっとしたローションタイプでも、そちらの方が肌の調子が良いようならクリームタイプを選んでも、両方を場所により使い分けても結構です。

Q 石鹸は使った方がいいですか。どのような石鹸を選んだら良いですか。
A アトピーは皮膚の汚れで悪化しますので、石鹸を使って汚れを落とすことは肌に良く働きます。しかし、石鹸を使いすぎると皮膚のしっとり感が失われてしまい、逆にアトピーを悪化させてしまいます。
このため、首回りや肘や膝の裏側などは石鹸を普通に使い、腕の外側やすね等の汚れにくい部位は石鹸を使ってさっと洗います。石鹸の種類は、普段ご家庭で使っているもので結構で、治療のために特別な石鹸を用意する必要はありません。
 アトピーに良いとか敏感肌用と称して売られている石鹸は、汚れは取るが皮膚の保湿成分は取り除かない特長をもち、使用感も優れています。しかし、通常の石鹸に比べて高価なため、お好みでお選びいただく性格のものと私は考えています。このような代表的な製品として、下記のようなものがあります。

ビオレu泡(花王) キュレル(花王) コラージュ(持田ヘルスケア) NOV セバメド(ロート製薬) アトピコ(大島椿) ドゥーエ(資生堂) アクセーヌ ラロッシュポゼ

Q 入浴剤を使いたいのですが、どのような商品を選んだらよいですか。
A 保湿性のある下記のようなものが良く、硫黄が入っているものは肌をかさつかせます。
コラージュDメディパワー保湿入浴剤(持田ヘルスケア) ミノン薬用保湿入浴剤(第一三共ヘルスケア)

Q ステロイドで良くしても、また元に戻ります。
A 一見良くしても繰り返すのは、目に見えない皮膚炎が治り切らずに残っているからです。アトピーでなければほっといても自然に治ってしまうような皮膚炎が、良くなっても火種の様に消えずに残っているのです。そこへもってきて、アトピーは一見普通に見えても、全身、敏感肌です。ですから、かきっぱなしの汗や乾燥等により、容易に皮膚炎が悪化して元に戻ってしまうのです。このぶり返しを防ぐには、ステロイドで良くしても残っている皮膚炎を、タクロリムスで抑え再び勢いづかせないことです。
 タクロリムスを塗る場所はまぶた、首回り、背中の上、肘の内側、膝の裏などです。つまり、今は調子が良くても過去に繰り返した所や、何も出来ていなくてもむずがゆくなったり癖で手が行く所なら、全身どこにでも塗れます。塗る頻度は2日に1回でも、週に1回でもかゆみやカサカサ等が出なければ結構です。もしもぶり返したら塗り方が足りなかったので、次からはタクロリムスを塗る範囲や回数を増やします。
 同時に、保湿剤をそれ以外の何でも無いところにも塗って、全身の敏感肌を補正します。保湿剤はカサカサにではなく、何でもないところに塗ります。ステロイドは、タクロリムスを1日2回塗っても治らなかったら一時的に使う、おさえの薬として手元に控えておきます。
 このようにアトピーを良くする鍵は、ステロイドで良くした後のたタクロリムスの使い方にあります。

Q 目に薬は塗れますか。
A まぶたのかゆみや腫れは、タクロリムスで治せます。まぶたの皮膚は薄いので、薬の吸収が良く治りやすい場所です。ステロイドは漫然と塗り続けると眼圧を上げる副作用のでることがありますが、タクロリムスにそのような副作用はありません。タクロリムスを塗って熱くなったりかゆくなるようなら、少しずつ狭い範囲から塗って慣らしたり、1~2日ステロイドを塗って良くしてからタクロリムスに変えます。そして、無意識に手がいかなくなるまで、塗り続けます。かゆいまぶたを激しく搔いたり叩くと、目を傷めるので良くして下さい。

Q 乳首のジクジクが治らず、切れて痛みます。
A ほかの部位と同様にステロイドを塗って良くした後、タクロリムスや保湿剤などを使います。男性はこれでうまくいきますが、女性が良くならない場合は、別のページに記載されていますのでこちらをクリックしてください。

Q 首回りや肘の、色素沈着が消えません。
A アトピーでみられる黒ずみの原因は、治りきっていない皮膚炎です。そのため、タクロリムスを十分な量塗り続けると、何カ月もかかりますが徐々に本来の肌の色に戻っていきます。塗る量の目安は、首なら1日1回、チューブ1本が1~2週間で無くなる量です。

Q タクロリムスを塗ったら、熱くヒリヒリしてかゆみも増して使えませんでした。子供がかゆがって夜中に泣き、親も起こされ眠れませんでした。
A タクロリムスを塗ると火照ったりかゆくなり、特にお子さんの肌は敏感なため夜中に泣いたり、お風呂のお湯に触れると嫌がり塗れないことがあります。このような場合にはステロイドや保湿剤をしばらく塗ってから、再びタクロリムスを塗ってみて下さい。綺麗な部分を選んで、最初は指先ほどの狭い範囲から毎日少しずつ塗り広げていくのが良いと思います。
 このような火照りやかゆみは、唐辛子と似た作用をタクロリムスが神経に及ぼすためです。多少の刺激なら薬を塗り続けると無くなるのは、目に見えない皮膚炎をタクロリムスが治すからです。タクロリムスは薬の粒(分子量)が大きいため、正常の皮膚からは吸収されず刺激は起きません。しかし、アトピーの肌は綺麗に見えても目に見えない皮膚炎があるため薬が吸収され火照りやかゆみを引き起こします。きれいなところに塗って熱くなったりかゆくなったら、そこは正常ではないということです。
 タクロリムスの刺激を避けるためには、いきなり広範囲に塗らず狭い範囲から塗り始めるのがポイントです。

Q ステロイドを塗ると、茶色いシミが残り消えなくなりますか。日に当たってはいけない薬ですか。
A ステロイドに肌の色を茶色くさせる働きはなく、正常な皮膚に塗っても茶色くなることはありません。ところが、アトピーが完全に治っておらず、かゆみを感じない程度の弱い炎症が残っていると、首や肘の内側などの茶色味が何年経っても消えないように見えます。そのような茶色味はステロイドのせいのように思えるかもしれませんが、治りきっていないアトピーによる変化ですのでタクロリムスを塗ると半年から1年ぐらいかけて落ちていきます。
 ステロイドには、日に当たって肌を茶色くさせる作用もありません。
 厚生労働省研究班「アトピー性皮膚炎の既存治療法のEBMによる評価と有用な治療法の普及」一般向けQ&Aも、ご参照ください。


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