京急蒲田駅直結の皮膚科、たけうち皮フ科クリニック

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じんま疹

◆ 症状
 突然激しいかゆみを伴う皮疹が全身の広い範囲に出現し、皮疹は蚊に喰われたような、みみずばれの様なとたとえられ、数十分で形を変えたり消えたりします。今出ている赤い斑点や、蚊に喰われたように膨らんだ発疹のふちをボールペンなどでなぞり、30分から1~2時間ほどで形が変わったり消えるようなら、蕁麻疹が考えられます。ほとんどの蕁麻疹は内臓などに悪い原因はなく、ほぼ毎日出るタイプはアレルギー性ではありません。病院に来た時は消えていて見せられない場合は、自撮りが役立ちます。もう一つの代表的なかゆい皮膚病である、湿疹・皮膚炎はこちらをご覧ください。

◆ アレルギーと原因検査
 アレルギー性の蕁麻疹では、原因の食べ物を食べたりや薬を飲むと、30分ほどの間に必ずかゆい発疹が出てしばらくすると消えますが、口に入れなければ発疹は出ません。疑っている食べ物を食べても、症状が出るときとでない時があったら、アレルギーの原因では無い可能性があります。また、採血のアレルギー検査は大切ですが、例え反応ありと結果が出てもそれが原因とは言えず、逆に原因であっても必ずしも反応が出るとは限りません。そのため、検査結果は参考にする性格のもので、血液検査だけで原因を特定することはできません。診察してアレルギーが疑われる場合に血液検査は参考になりますが、治らないからといって血液検査をすれば原因が分かり解決するという病気ではありません。
 このような理屈とは別に、安心のため検査を受けておきたいとお考えの方は、血液検査が保険が許す範囲内で受けられますので、検査を受けたい旨診察の際にお申し出ください。その際、ご希望の検査項目を教えて下さい。
 血液検査は、あくまでも参考にとどまることを予めご理解のうえお受け下さい。原因を特定できない検査を保険が認めるわけがないだろうとおっしゃられても、反応ありとでたものが今ある症状の原因を意味せず、検査値が高くてもアレルギーを起こしやすい体質とは必ずしもいえない検査です。逆に、特定の食べ物を食べるたびにある種のアレルギー症状が再現され、食物アレルギーが考えられるのに血液検査では反応が出ないこともあります。

◆ 
様々なタイプの蕁麻疹
 ごくまれに薬や日光が原因のことはありますので注意は必要です。皮膚の蕁麻疹に伴い、同じ反応がまぶたや唇に起こると、そこが突然大きく腫れることがあります。
 特殊なタイプとして汗をかいたときに出る、痛い点状の発疹を特徴とするコリン性蕁麻疹があります。若い男性に多く、発疹の出た部位は汗をかきにくくなることがあり、その場合は体に熱がこもる感じがします。また、唇やまぶた、手や足が腫れて、お腹が痛くなったり息苦しくなる病気があります。この遺伝性血管性浮腫と呼ばれる病気では、かゆい虫刺されのような蕁麻疹がみられず、腹痛の検査をしても異常が見つかりません。このような時には、この病気に必要な検査や治療を施します。

◆ 治療
 かゆみ止めの抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)を1~
2週間内服すると多くの場合は治りますが、最初の時点でいつまで飲めば治るかの予測は困難です。自然と治る傾向があり、薬を飲まなくても1、2回出ただけで治ってしまうことは少なくありません。薬で眠くなる場合は、脳に移行しにくく眠くならないタイプを選びます。眠くなる薬の方が強く、良く効くわけではありません。
 一方、治療が長引く場合は一定期間薬を減らさずに飲むと徐々に出にくくなり、最後には薬を飲まなくてもかゆみが出なくなり治ります。1日おきに減らして飲んで出なくても、すぐに減らさず、しばらく毎日飲み続けるようにすると早く治ります。この様に1~2年やっても治らないことが時にありますが、時間がかかってもいずれは治る病気です。特異体質などが原因ではありませんので、あきらずに飲み薬で発疹を抑えていくことが大切です。
 抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)が十分に効かず、飲んでいてもかゆみや発疹が治まらない場合は薬の量を増やします。それでも効果が得られない場合は、効く薬を体に負担の少ない薬から順に試して探し出します。花粉症の薬が劇的に効くことがありますし、胃潰瘍の薬がジワジワ効くこともあります。ステロイドの飲み薬が効くことがありますが、効いても副作用がはっきりする前に減らして飲み止めます。これらの飲み薬も効かず、かゆみに悩まされるようなら、炎症反応に作用する飲み薬や注射薬オマリズマブ(ゾレア®)を検討します。注射は1か月に1回打ち、3か月打つと3人に1人は症状が消失しかゆみと発疹はみられなくなります。効果や費用を説明したリーフレットを用意しておりますので、御遠慮なく医師にお申し付け下さい。注射ができる近隣の医療機関をご紹介しています。
 かゆい時に塗り薬を使うと気分が楽になるため塗る意味はありますが、治療の中心は飲み薬です。同じようにかゆくても湿疹とは別の病気ですので、治療も異なりステロイドの塗り薬は使いません。
 

じんま疹のパンフレット

 厚生労働科学研究 蕁麻疹ってどんな病気?


Q 疲れたり酒の席があると出ますが、ストレスが原因ですか。
A 疲れた時に皮疹は出やすくなりますが、ストレスだけが原因で発症する病気ではありません。

Q 出された薬(抗ヒスタミン薬/抗アレルギー薬)が効かないときには、他にどのような飲み薬を使いますか。
A 負担の少ない薬を追加で試しに飲み、その効果を確かめます。最初に、抗ヒスタミン薬/抗アレルギー薬を通常の2倍飲んでみます。それでも効かなければ、花粉症の薬、ガスターのような胃潰瘍の薬、風邪薬などに使う炎症を抑える薬を1種類ずつ抗ヒスタミン薬/抗アレルギー薬に追加して飲んでみます。それでも症状が激しく、かゆみで連日眠れないなど日常生活に支障がある場合は、劇的に効くことのある高血圧に使う薬や抗生物質、免疫調節剤、ステロイドを試みることもあります。
 自然に良くなる傾向のある病気ですので、かゆみや赤い斑点が時々出る程度でしたら、あえて薬の数は増やさず抗ヒスタミン薬/抗アレルギー薬を続けられる方がほとんどです。

Q 蕁麻疹が出た時に、唇やまぶたも腫れることがあります。
A 唇やまぶたに出る蕁麻疹はクインケ浮腫と呼ばれ、蚊に食われたような発疹と異なり引くのに時間がかかります。クインケ浮腫は、ある種の高血圧の薬が原因のことがあります。

Q 注意すべき飲み薬がありますか。
A 痛み止めの飲み薬で、出やすくなることがあります。

Q 食べ物が原因ですか(日本皮膚科学会のサイトへ移動)。

Q 薬を飲んでいる間は出ませんが、止めると出ます。いつになったら治りますか(日本皮膚科学会のサイトへ移動)。

Q 授乳中の治療は、どのようにしたら良いですか。
A 安全性の高さが確認されている薬を選んで、授乳中も内服治療を続けることが出来ます。今までは「粉ミルクがあるから」と母乳をやめたり、「なんとか我慢しよう」とお母さんがお薬を飲むのをあきらめたりしてきました。そこで、国立成育医療研究センターにある妊娠と薬情報センターでは、医学的研究報告に基づいて「授乳中に安全に使用できると思われる薬」を公開し、合わせて授乳を続けながら治療する意味を説いています。ほとんどのお薬の説明書に「授乳を中止」と書かれているため、アドバイスをする医師もそのように説明してきましたが、この説明書も科学的な裏づけに乏しく、今の時代にそぐわない点が指摘されています。合わせて、お薬の使用や中止については、自己判断ではなく必ず医師と相談して決めることが大切だとしています。
 
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