京急蒲田駅直結の皮膚科、たけうち皮フ科クリニック

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乾癬

◆ 乾癬とは
 塗り薬を塗ると良くなるが、しばらくすると同じ所に皮疹が出てくるしつこい病気です。発疹は赤くガサガサしており、肘頭や膝からすねにかけて、頭の生え際などに出やすく、かゆみはある場合も無い場合もあります。爪が変形することもあります。稀な疾患ではなく、日本の患者数は43万人、有病率は人口の0.34%、男性に多く75~79歳に多い一方、若い方がなることもあり30歳未満では男女差はありません。皮膚科を受診される方の4%を占めます。
 皮膚の成分に対する何らかの反応が原因と考えられており、人に伝染することは無くかいせん(疥癬)とは異なる病気です。カサカサを擦り取ったり掻くとかえって悪化しますので、お風呂でアカがで出なくなるまでこすり取らないようにします。
 皮膚以外の症状として、関節が痛くなることがあります。リウマチの痛みに似ていますが、起こり易い関節の場所が多少異なります。多くは発疹が出た後に痛くなりますが、痛みが先のこともあります。病気の成り立ちに高脂血症や糖尿病と共通した部分があるため、メタボリック症候群がある人は並行して治療します。

◆ 治療法
塗り薬が基本で、それに飲み薬や光線療法、注射を追加できます。

塗り薬 ステロイドとビタミンD3の2種類の塗り薬を、それぞれの良さが引き出されるよう塗り分けます。つまり、悪化時には即効性のあるステロイドで良くし、普段は効果発現には3か月位かかるがステロイドよりも良くなるビタミンD3を辛抱強く塗ると結構良くなります。また、ステロイドとビタミンD3が両方入った塗り薬も重宝します。の皮疹がローションで治りにくいときは、生え際なら塗れますので軟膏に変えると効きます。シャンプータイプの薬もあります。の変形にはビタミンD3のローションが有効で、飲み薬や光線療法、注射を併用すれば更に良くなります。
 使う薬が同じでも、どこに何を塗るかによって治り方は随分と違うため、医師の意見を参考に自分に合った塗り方を探すことも大切です。平日はビタミンD3を土日はステロイドを塗って、今までに無く良くなった方もいらっしゃいます。

飲み薬 通常のかゆみ止め(抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬)のほかに、塗り薬だけでは治りきらない皮疹に効果のあるビタミンAや免疫調節剤などが使われています。
 ビタミンAは特にガサガサが良くなりますが、子供を作る予定の方には制限があります。私は、ご高齢の方などに少量内服頂き良くなったら一旦止め、その後皮疹がぶり返す場合は月に2週間程度飲んでいただく方法をとることがあります。
 免疫調節剤であるシクロスポリンは優れた効果をもち、塗り薬で発疹やかゆみが治りきらなかったり、爪を良くしたい時の候補となります。悪化時だけ飲むなど、飲んだり飲まなかったり出来ます。ご高齢の方は、腎臓への負担や風邪をひきやすくなるといったことに注意が必要です。しかし、若年から中年の方にそのような副作用が出ることはほとんどなく安全性は高く、内服が長期に及ぶ場合は念のため時々血液を検査します。ジェネリックの1日薬価は、3割負担の場合およそ100円です。最初は、5日~2週間試しに飲んでみます。
 アプレミラストは 塗り薬で良くなり切らない皮疹に効く、抵抗力や腎臓などの内臓に影響しない優れた飲み薬です。ご高齢の方にも安全に使え、関節の痛みにも効果があります。塗り薬にはない効果と他の飲み薬にはない安全性が特長ですが、1日の薬代が3割負担でおよそ580円と高価なのが難点。他の飲み薬と異なり血液検査も必要ありませんが、最初だけお腹が緩くなったり頭痛などの副作用が出ることがあり、そのような場合でも量を減らすと治療が続けられます。


光線療法 夏、肌を出す部分が良くなったり、海に行くと良くなるのは紫外線が効くからです。紫外線は波長によって赤い日焼けを起こしますので、治療効果のある波長だけを出す光源を使います。週3回通えると良いのですが、週2回や週1回でも効果はあります。早いと、1~2回でかゆみが減ってきます。費用は3割負担で、広さに関わらず1回約1,000円です。ビタミンDの軟膏を塗りながら照射すると、治療がはかどります。
 光線療法は、病気に関わる皮膚の細胞やその回りの炎症細胞のDNAに作用します。体の負担が少なく妊娠中も使え、効果が確実でぶり返しにくいのが特長です。コストパフォーマンスの良さから、海外では自宅で光線療法が行われています。
 注意する点は、シクロスポリンあるいはメトトレキサートの飲み薬と同時にはできません。飲み薬のアプレミラスト(オテズラ)、かゆみ止めの抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤といった飲み薬、ステロイドやビタミンDなどの塗り薬は続けられます。お子さんを作る予定の無い方は、ビタミンAの飲み薬を併用すると、皮膚の表面が薄くなる分光線療法が効きやすくなります。

注射(生物学的製剤) 病気の反応にピンポイントに作用し、優れた効果を発揮します。多くの方で75%以上発疹が減り、残っている発疹が5%以下となり見ても分からなくなる方も少なくありません。薬塗りから解放され、爪の変形も元に戻り、関節の痛みや腫れにも有効です。その効果については、こちらをご覧下さい。注射は何種類かあり、1か月に1回打つのですが自宅でも打てるため毎回病院に行く必要のないものや、3か月に1回病院で打つものなどがあります。薬の値段は3割負担の方の場合、初年度は年間約33万円、2年目以降は約17万円と高額です。しかし、実際に支払う金額もっと安く、高額医療制度や付加給付の説明を受けた後に注射するかどうか決めます。注射を受けられる医療機関は指定されておりますので、紹介状をご用意しています。

◆ 患者会
 下のサイトより、乾癬に関する話題に触れることができます。

 わたしの乾癬体験談 乾癬についてみんなで語り合う掲示板
 日本乾癬患者連合会 NPO法人 東京乾癬の会


Q 治りますか。
A 治りにくいですが、自然と治ることがあります。乾癬だった人にアンケートを送った大学教授の調査によると、治ったり、何十年も皮疹が出ないことがあります。関節の痛みも持続するとは限らず、一時的のことは少なくありません。治った人は医者に行かなくなり、治りましたと医者に知らせることも無いので、診察した後どうなるか医者に誤解はあると医学専門家は指摘しています。

Q 爪が治りません。
A 爪は手を人前に出す時にさらされ、社会的な支障を生じます。塗り薬も効果はありますが有効成分が患部に届きにくく、より確実な選択肢として飲み薬や注射があります。

Q 指や踵、腰が痛みます。
A 関節が痛むことがあり、関節の状態をレントゲンや超音波で調べます。痛み止めの薬が効いて一過性で治ってしまうことがある一方で、指が変形したり曲がりにくくなることもあり、そうならないよう早期にリウマチ用の飲み薬や注射を始めることが大切とされています。

Q 注意することはありますか。
A ガサガサをお風呂でふやけた時にこすって落としていると、どんどん大きくなります。固いナイロンタオルで体を洗っても、増えていきます。擦ったり傷つけたところに新しく皮疹ができる、ケブネル現象が起きるからです。
 病気を刺激しますので、虫歯や高脂血症、糖尿病などがあれば歯科や内科受診をお勧めします。関節の痛みを伴うことがあり、早期に治療を始めることが大切とされています。他の疾患の関節の痛みとの区別が難しいので、疑問に感じたら担当医にお申し出ください。
 ストレスをためない、暴飲、暴食は避ける、煙草は良くないといったことは、他の病気と同じです。


 

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