京急蒲田駅直結の皮膚科、たけうち皮フ科クリニック

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帯状疱疹と神経痛

帯状疱疹

◆ 原因 痛みと水疱を生じ、子供の頃にかかった水ぼうそうのウイルスが引き起こす病気です。水ぼうそうが治った後も、ウイルスはどなたでも神経の根本に残っています。その体の中にいるウイルスが、再び神経を伝わって出てきたのが帯状疱疹です。主要な原因は年齢で、水ぼうそうにかかってから年月が経ち、免疫がウイルスにかかったことを忘れて低下することにあります。したがって、年をとってからもう一度体の中にウイルスを入れると、再び免疫が活性化し帯状疱疹になりにくくなります。これが帯状疱疹の予防ワクチンの原理で、ワクチンが認可されてから帯状疱疹は予防できる病気になりました。その他、発症に関わる要素として、大きな病気や、手術、仕事による疲れ、睡眠不足も関係することがあります。その一方で、はっきりとした原因無く普段と変わりなく過ごしているにも関わらず、若い方や小児が帯状疱疹になることもあります。無理は禁物で、若い方でも3~4時間の睡眠時間が2週間続くなど負担がかかると帯状疱疹になりやすく、疲れをためたままだと治りにくいことが経験されます。

◆ 症状 チクチクとした痛みを伴う水疱が、体の半分だけに出るのが特徴です。出る場所は決まっておらず、全身のどこにでも出ます。このような症状があれば帯状疱疹を疑い、早めに皮膚科を受診してください。しかし実際の症状は様々で、痛みは無いことも初期にはかゆいことも、痛みだけが先に出て後から皮疹が出てくることもあります。このため、初めは虫刺されや、腰痛だと思って貼った湿布かぶれと区別できないことがあります。また、帯状疱疹は体のどこにでも出ますので、痛みだけが先に出ると頭痛や胸痛、腹痛などの内臓の病気と区別がつかず、脳外科や内科、整形外科にかかり検査を受けたが異常が見つからず、1週間から10日も経って発疹が出て初めて帯状疱疹と分かることもあります。帯状疱疹は1回の血液検査で直ぐ分かる病気ではありませんので、痛みが先行した場合には様々な可能性を考えて診察します。
 症状から帯状疱疹かどうかはっきりしない場合は、水疱があれば、それを擦ってその場で結果が分かる、インフルエンザのときに鼻でやるような検査が役立ちます。

◆ 治療 このように症状から帯状疱疹と分かったら、水ぼうそうのウイルスの増殖を抑える効果のある抗ウイルス薬を7日間内服します。腎臓から排泄されるタイプの抗ウイルス薬では、腎機能が低下している場合は薬の量を減らします。薬の排泄が滞り体の中に貯まると、眠くなるなどしますので注意が必要です。痛みにはその程度に応じた薬を選び、通常の痛みにはカロナールやロキソニンなどの鎮痛剤で対処します。抗ウイルス薬を1週間飲んでも、かさぶたなどの皮疹と薬を飲むほどでもない軽い痛みは残っていることが殆どです。しかし、飲み薬によりウイルスの活性は無くなっていますので、さらに2~4週ほど皮疹や痛みが落ち着くのを待ちます。症状に応じ、補助的に抗ウイルス薬以外の飲み薬や付け薬を使うこともあります。特別な理由なく、落ち着くのに1か月以上かかることがあります。

◆ 痛みが激しい時 通常の痛み止め(カロナール、ロキソニン等)を飲んでも痛みで夜眠れない場合には、うつ状態に使う薬(トリプタノール等)や疼痛治療剤(リリカ、トラマール、トラムセット)を一時的に使います。このような薬を、強いからといって嫌厭するのは必ずしも得策ではありません。なぜなら、激しい痛みでも薬を飲むと眠れるようになったり、痛みがなくなり薬をやめられることもあるからです。確かに、飲む量によってふらつきなどの副作用が起こることはありますが、少量から注意しながら飲み始めれば支障なく治療できます。このような薬に痛みの根本原因を正常化する作用はありませんが、実際には薬を飲むと痛みが治り、飲まなくても済むようになることが経験されるため飲む意味はあります。このような治療がなされるようになってからは、激しい痛みに悩む人に遭遇する機会は以前に比べ減りました。
 痛みが長引いてもウイルスが残っていることが原因ではなく、抗ウイルス剤を長期に飲んでも痛みに効果はありません。

◆ 予防ワクチン 帯状疱疹は80歳までに3人に1人、85歳までに約半数がかかり、高齢者や若くても重い病気をお持ちの方は、思いのほか激しい痛みに苦労されることが少なくありません。帯状疱疹にならないように、なっても激しい痛みがでないように、50歳以上の方には帯状疱疹の予防ワクチン(7,000円 予約不要 詳しくはこちら)が認可されています。

◆ 他人への感染 帯状疱疹の水疱には、水ぼうそうのウイルスがいますので、水ぼうそうにかかったこともワクチンを打ったこともない抵抗力を持たない人には、水ぼうそうとしてうつる可能性があります。しかし実際には、多くの成人は既に抵抗力を持っており、また水ぼうそうと異なり帯状疱疹の人の口からは周囲にウイルスが飛び散ることもありません。このため、帯状疱疹の人の回りで水ぼうそうが発症することはきわめてまれです。ただし、お子さんや妊婦さんがいる環境などでは配慮が必要です。幼稚園や保育園における対応は、文部科学省や厚生労働省のガイドラインに従います。発疹はかさぶたになると、ウイルスがいなくなります。
 厚生労働省 保育所における感染対策ガイドライン 2018年改訂版(P60)
 日本学校保険協会 学校において予防すべき感染症の解説(P55)   

◆ 再発 帯状疱疹は1回しかかからないことが殆どですが、健康上の問題なく繰り返すことが稀にあります。繰り返すとしても何年も後の話で、治って数週間~数か月してまた出てくることはありません。見かけは似ているが、帯状疱疹とは異なり年に何回か繰り返す病気に単純疱疹があり、できた水疱を検査すると単純疱疹かどうかが分かります。
 帯状疱疹は2度やらないとは言え、人生100才時代ですから10~30才に若くして帯状疱疹になった人は、50年たって80歳になったらもう一度帯状疱疹になるかもしれません。万一のことを考えるなら、60才位になったら予防ワクチンを打てば安心です。
 子供の時に水ぼうそうのワクチンを打った人は、帯状疱疹にごく稀にしかなりません。

帯状疱疹の多い季節 帯状疱疹は夏に多く、それは水ぼうそうが夏は少ないからです。夏にウイルスにさらされる機会が減ると、水ぼうそうのウイルスに対する免疫力が刺激されずに弱まり、抑えきれなくなったウイルスが体の中で増えて帯状疱疹になりやすくなります。
 水ぼうそうのワクチンを全ての人に打ち水ぼうそうが減った海外では、帯状疱疹が増えました。日本では、H26年に水ぼうそうのワクチンを1歳になると全員打つことになり、水ぼうそうが激減しました。これに伴い、今後帯状疱疹は増えると考えられています。子供の時に水ぼうそうのワクチンを打った人は、帯状疱疹にごく稀にしかなりません。

 帯状疱疹の飲み薬(抗ウイルス剤)の、3割の方の自己負担額は以下の通りです。

  薬の一般名   先発品 後発品 販売開始
アメナビル 1日1回 7日分 約6,200円 無し 2017年
ファムシクロビル 1日3回 7日分 約6,200円 約2,600円 2008年
バラシクロビル 1日3回 7日分 約5,100円 約2,400円 2000年
アシクロビル 1日5回 7日分 約7,400円 約1,200円 1988年

 
①は発症後しばらく経っても効率よく作用し、1回飲んだだけで1日中薬が効いている。腎臓への負担が少なく、高齢者や腎臓の悪い人でも使い易い。
②は③に比べると、腎臓への負担がやや少ない。
④は値段は安いが、1日5回飲まなければならない。

Q 汁が付くと、皮膚から皮膚にうつりますか。
A 帯状疱疹や水ぼうそうのウイルスは皮膚から皮膚にうつることは出来ず、汁がついても皮疹は拡大しません。目のまわりの皮疹にいるウイルスが、目の中にうつることもできません。

Q 人にうつりますか。学校や保育園、幼稚園に行けますか。孫に会えますか。
A 成人の殆どは既に水ぼうそうにかかったことがあるか、水ぼうそうのワクチンを打ちウイルスに対する抵抗力を持っていますので、人への感染に特別な注意を払う必要はありません。ただし、水ぼうそうにかかったこともワクチンを打ったことも無い子供には、水ぼうそうとしてうつる可能性があります。しかし、帯状疱疹の水疱にウイルスがいても、水ぼうそうのように口から大量のウイルスが出て空気中に飛び散ることはありませんので、実際には帯状疱疹の人と接して水ぼうそうになることはありません。

 かさぶたになれば他人への感染力は無くなりますので、それまでは念のためお孫さんなど小さなお子さんと接しないよう配慮される方が多い様に思います。保育園、幼稚園や学校に関しては、厚生労働省 保育所における感染症対策ガイドライン(P60)や日本学校保険協会 学校において予防すべき感染症の解説(P55)を参照ください。
 
Q お父さんが帯状疱疹になりましたが、まだワクチンを打てない0歳の子に水ぼうそうとしてうつりますか。
A インフルエンザが家族内でうつることはよくありますが、家族内で帯状疱疹が水ぼうそうとしてうつることはまず経験されません。ただし、うつる可能性はありますので、もし万全を期すのなら、お父さんはかさぶたになるまで可哀想ですが別の部屋に隔離ですね。生まれて数か月は、お母さんの水ぼうそうの免疫力を赤ちゃんも持っていますのでうつりません。

Q 痛みだけの帯状疱疹はありますか。
A 痛みだけの帯状疱疹もあるとされていますが、帯状疱疹が原因の痛みかどうか分かる方法はありません。また、発疹の無い痛みに帯状疱疹の薬を試しに処方することも保険で認められていません。実際の対処法は、念のため内科や整形外科などで帯状疱疹以外の病気のきざしがないかみてもらうことと、発疹が出たら一度かかっていても皮膚科を受診することです。発疹は、帯状疱疹なら痛みが始まって多くは数日、稀ながら2週間程度で出ます。それまでの間は、痛み止めの薬を飲むなどして慎重に様子をみます。背中や太ももの裏など目の届きにくいところの発疹は、出ていても気づきにくいのでご家族に見てもらってください。

Q 痛みは何日くらいで治りますか。温めた方が良いですか。
A 60歳以下の方なら1~2週間で、60歳以上の方は1か月が一つの目安です。しかし、3か月たっても1~5%の方は痛みがとれず、その多くは70~80歳代の方です。激しい痛みは、帯状疱疹になって何日かたってから起こることもあります。痛みは、お風呂に入るなど温まると和らぐことがあります。

Q 早期に帯状疱疹と気づくためには、何に注意したらよいですか。
A 痛みを伴う皮疹が、体や頭の半分だけに出たら帯状疱疹を疑います。皮疹は初期には目立たず、特に自分では見えない体の後ろから始まると、前に出てくるまで気がつかずに数日過ごすこともあります。そのため、背中や腰などに皮疹がないか家族に見てもらうのも良いと思います。
 痛い病気と知られていますが、初期には虫刺されと区別できないかゆい皮疹のこともありますので注意が必要です。また、痛みだけが先行し皮疹が見つからないと、皮疹が出るまで帯状疱疹と診断することは皮膚科医でも困難です。このような場合は、皮疹が出てこないか2~3日後に再評価したり、帯状疱疹以外の可能性も考え他科も同時に受診いただくなど慎重に対応します。

Q 二回かかることはありますか。
A 二回かかる方が約1~3%いらっしゃいますが、多くは健康で抵抗力が弱かったり大きな病気はありません。ごくまれに、免疫不全など無く日常生活を健康に送っている方が、二回以上繰り返すことが知られています。

帯状疱疹後神経痛

 帯状疱疹になってから、およそ3か月たっても痛みがとれないものをいいます。
 痛みの程度は様々で、むずむずと虫が這った様な痛がゆさ、風が吹いたときのピリピリ感などを訴える方が殆どです。このようなときの飲み薬として、体に負担の少ないメチコバールとノイロトロピンがあります。しかし、中には重症な方もいらっしゃり、内臓を握りつかまれた様な何とも形容しがたい重苦しさや、釘でえぐられ気絶しそうになるほどの突然襲ってくる痛みに悩まされることもあります。 このようなそれまで経験したことの無い激しい痛みは、心臓の病気や癌による痛みなどと同様に精神的に大きな負担となります。
 治療には、トリプタノールやデプロメールといった抗うつ薬、リリカに代表される疼痛治療剤、トラマールなどの麻薬性鎮痛薬が有効です。ふらつきなどの副作用に注意しながら、少ない量より飲み始めます。眠れるようになるなどの改善効果があり、薬を止められることも稀ではありませんので、強い薬だと思って嫌厭し、痛みを我慢し続けるのは得策ではありません。ご高齢の方でも必要最小限の量の薬を、安全に長期に使いながら楽に過ごしています。
 高齢の方は帯状疱疹に伴う長期の痛みにしばしば悩まされるため、50歳以上の方を対象に帯状疱疹の予防ワクチン(7,000円 予約不要)が認可されています。

Q 抗ウイルス剤を処方された7日よりも長期間飲むと、痛みは取れますか。
A 原因はウイルスが残っていることではなく、ウイルスによる神経の障害ですので、抗ウイルス剤を長期間内服しても痛みには効きません。

Q 最初あった痛みが落ち着いたと思ったら、その10日後に痛くなりました。
A 時に、ご高齢の方では後になってから痛みが出ることがあります。しかし、帯状疱疹のウイルスが再び勢いづいたわけではありませんので、痛みの治療をします。

Q お腹の中が痛みますが、内臓も帯状疱疹にかかるのですか。
A 痛みが中から来ているように感じるだけで、内臓に異常はありません。日常生活を送っている健康な方が、ウイルスにより内臓に障害を受けることは通常ありません。

Q 予防ワクチンは受けた方が良いですか。
A 年をとると半数の方が帯状疱疹になり、時に激しい痛みに悩まされます。ワクチンは、赤ちゃんも打っている水ぼうそうのワクチンと同じもので、海外の例を見ても重い副作用はありません。費用さえ問題にしないのなら、60歳以上の人が打つメリットは大きいと考えられています。効果は10年程度もちます。

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