毛穴には毛が生えたり抜けたりを繰り返す毛周期があり、円形脱毛症は毛周期が抜けた状態でそろって止まった状態です。毛穴は壊れておらず自然となる傾向があるため、治療を受けなくても殆どの場合元に戻ります。治療は毛穴の回りに集まった炎症細胞を正常化する穏やかな薬を飲んだり塗ったりしますが、治ったと感じるのに半年から1年くらいかかります。
毛根に対する一種のアレルギー反応ですので、発症に関わる炎症細胞を正常化させる光線療法が有効です。当てる光は紫外線で、治療に必要な波長だけをだす赤い日焼けを起こしにくい医療用機器を使います。費用は3割負担で、広さに関わらず1回約1000円です。即効性は無く、週2~3回程度の頻度で数か月照射します。
稀ながら広範囲に及ぶ場合は、条件を満たせば内服JAK阻害薬(バリシチニブ)の有効性が知られています。この薬は当院では処方しておらず、近隣の医療機関をご紹介しています。
薄毛の原因は毛穴が出す酵素にあり、
増毛効果はデュタステリドがフィナステリドに勝り、それは原因の酵素をブロックする働きがデュタステリドの方がより強いからです。薬を飲み始めてから効果を自覚するまでの期間は、フィナステリドは6か月以上かかりますが、デュタステリドは早いと3か月です。内服6か月後の太い毛の数も、デュタステリドの方がフィナステリドより秀でています。飲み続けると、薬はもっと効いてきます。つまり、フィナステリド内服1年後の増毛効果は58%ですが、2年で68%、3年78%と増えていきます。3年内服した時点で20%の方の進行が停止しますが、AGAは治療しないと進行し続けますので、進行停止は効果ありと判断されます。したがって、増毛した78%と合わせるとほとんどの方に効果が現れることになります。さらに、フィナスナステリドで増えなくても、デュタステリドに替えるとその77%に増毛効果が認められます。効果は、頭のてっぺんにも額にも現れます。
薬はゆっくり効き自覚しずらいので、スマホで写真を撮っておくと数か月前より良くなっている様子が分かります。
フィナステリドとデュタステリドの使い分けに関しては、最初はフィナステリドで始め、満足いく効果が得られなければデュタステリドに変更するのでも、最初からデュタステリドを飲まれるのでも、どちらもお選び頂けます。いずれ
増毛以外には、気持ちが前向きになる効果が期待されています。薬を飲んだある皮膚科医は、増毛効果により生活の質が改善したと話しています。また、増毛効果が科学的に検証されているミノキシジル(リアップ等)と併用すれば、更なる効果が期待できます。
注意することは、前立腺癌になったときに数字が上がる血液検査が、飲み薬を飲んでいると前立腺癌になっても上がらないことです。このため、人間ドックなどで前立腺癌の血液検査をする際には、事前に薬を飲んでいることを伝える必要があります。薬を飲んで、前立腺癌になりやすくなることはありません。また、内服中に献血は出来ません。それは、胎児に悪影響を及ぼすからで、妊娠可能な女性に薬の入った血液が輸血されるのを防ぐためです。
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