ヒゼンダニ
ヒゼンダニと呼ばれるダニが、皮膚の表面に寄生してかゆみを生じる病気です。皮膚の表面を削りヒゼンダニを顕微鏡で確認できれば疥癬と診断されますが、見つかりにくい場合は時期を変え繰り返し調べます。駆虫剤は1回の投与では卵に無効なので、7日の間隔で2回飲みます(疥癬治療薬の現況 :国立感染症研究所)。塗るタイプの駆虫剤もあります。治療しダニがいなくなった後もかゆみだけがしばらく続くことがあります。
疥癬の感染力は低く、短時間の接触や衣類・シーツ等を介して感染することは稀です。しかし、疥癬の患者さんが発生すると、その周囲の人に既に感染していないかが問題となります。なぜなら、疥癬に感染してもかゆみがはっきりし、診断の手がかりとなる疥癬に特徴的な皮疹が現れるまでには最低でも1か月ときには半年近くかかるからです。このため、感染の可能性の高さを考えて対処します。例えば、患者さんの近くにいたことがあるので心配という場合は、念のためオイラックスを全身に塗ります。皮膚を何回調べてもヒゼンダニは見つからないが感染の可能性があると考えられる場合は、駆虫剤の全身への外用を検討します。また、日に何度も抱きかかえたり、長時間手をつなぐなどの接触があったり、同じ部屋で寝起きをともにしたり同じ寝具を使った場合は、後になって疥癬と分かることがありますので症状が無くても念のため薬を飲んでおくか慎重に検討します。
ヒゼンダニは乾燥に弱く、皮膚から離れると感染力は低下します。通常疥癬に対して隔離は不要、洗濯や清掃は通常の方法と専門家は説明しています。
有効な治療薬があるにもかかわらず、その処方数は減らないことより、疥癬にかかる人は減っていないと考えられています。